法的にいろいろ怪しい塾業界?
くま先生の現在のお仕事は弁護士(といってもいわゆるインハウスローヤー(厳密にはそれとも少し違う)というほぼ会社員みたいなもの)なのですが、法律をしっかり理解できる立場になると、色々塾業界のグレーなところが見えてきたりします。
浜学園も過去何度か、著作権侵害でやり玉に上がっていました(少なくとも、私が生徒だった頃は、今思い返すと著作権侵害のオンパレードでした
。講師時代にはかなり改善されていたと思いますが。)
講師オリジナルプリントを塾の方針として規制する動きは浜学園に限らず近年強まっていると思いますが、一つの理由がこの著作権侵害の防止にあると思います。
くま先生の「保護者のための塾と法律」講座
法律を正しく理解しておくことは、保護者にとっても大事なことです。善意でやってしまったことが実は違法だった…なんてことはしたくないですよね。
ということで、くま先生の「保護者のための塾と法律」講座を不定期更新の新シリーズとして始めたいと思います。
塾のテキストやテストを転売/購入するのは違法なのか?
初回は「塾のテキストやテストを転売/購入するのは違法なのか?」です。
まず買う方ですが、テキストやテストの原本を購入する場合は、法的に問題ありませんので心配なさらないで下さい。売る場合も、原本を売る場合には基本的に問題ありませんが、購入時に塾とどのような契約をしていたかによっては、利用規約違反として民事上の責任(損害賠償責任)を負う可能性がありますので受講契約書の記載は事前に確認しましょう。
なお、原本ではなく、コピーしたものを転売することは著作権侵害として民事上の責任だけでなく、最悪刑事罰(懲役刑や罰金)の対象にもなりますので厳禁です。コピーしたものを違法なものと知りながら購入することも理論的には刑事罰の対象になる場合がありますので厳禁です。
どういうことか、詳しく見ていきましょう。
テキストやテストの原本を購入することは法的に問題ない
テキストやテストの原本を購入する行為については、これを禁止する法律はありません。また、例えば仮に塾が「自分たちの塾のテキストやテストををオークションサイトから買わないように」と呼びかけていたとしても、それは塾と保護者の関係を縛るだけで、保護者と別の保護者(転売者)との関係までは縛れません。
したがって、原本を購入する行為が違法になることはほぼ考えられません。
原本を売る場合も基本的には問題なし。ただし、受講契約による縛りが有効な場合も。
では、テキストやテストの原本を転売する行為についてはどうでしょうか。
こちらについても、一般にこのような行為を禁止する法律はありません。
また、仮にテキストに「無断転売を禁ずる」と書いてあったとしても、(それだけでは法的には意味がない記載になります。転売する人はこの記載に縛られることなく転売して問題ありません。
著作権法には、「譲渡権」といって、著作権者(テキストであれば塾側)は、著作物(テキストやテスト)を無断で第三者に販売することを禁止できるのですが、この権利は、一度適法な販売が行われると消滅(消尽)してしまいますので、原本の転売は著作権法上禁止されないのです。
古本屋さんが営業できるのもこの権利消尽制度のおかげですね。
ただし、気をつけなければならないのが、受講契約の際の塾側による縛りの有無です。たとえば、司法試験予備校の伊藤塾では、受講契約にこのような記載があります。
・伊藤塾の教材および講座で使用する教材…(中略)…を他人に販売・贈与・交換する等、他人に譲渡する行為、および他人に貸与する行為(有償・無償を問わない)はできません。
このような記載が受講契約にはっきり書かれていた場合には、この縛りは有効です(なお、あくまでこのような内容の縛りであれば有効というだけで、受講契約のあらゆる縛りが有効というわけではありません。実際、伊藤塾の受講契約の中でも有効性が疑わしい項目がいくつかあります)。
このような縛りがあるにも関わらず転売を行った場合には、契約違反として民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。
なお、早稲アカの受講契約にはそのような縛りはありませんでしたので、早稲アカで使用するテキストの転売は特に法的には問題にならなさそうです。
コピーの転売は厳禁!購入もやめましょう!
さすがにこのようなことをしている事例は少ないですが、(たとえ自分が原本を適法に所有していたとしても、)コピーしたテキストやテストを転売することは、正真正銘の著作権侵害として、民事上の責任だけでなく、著作権侵害罪として最悪刑事上の責任まで負わされて刑務所送り(懲役刑)の可能性すらあります。
また、あまり知られていませんが、最近の著作権法改正で、2021年1月からは、転売する側だけでなく、例えばダウンロード形式でそのような違法に販売された著作物(テキストやテスト)を購入する行為も民事上違法(反復して継続的にダウンロードする場合は刑事上も違法)になっています。
とにかく、コピーされたテキストやテストの転売には売る側にも買う側にも関わらない方が身のためです。
目的にあったテキスト/テストの活用を
他のブロガーさんのブログを見ていると、最近はメルカリやヤフオクで塾のテキストやテストの取引が活発に行われているようですね。
私は、インプットは手を広げすぎず自分が通っている塾のテキストをメインで使うべきで、アウトプットは時間が許せば広くやればよいというスタンスです。実際、司法試験の時はヤフオクで各塾の模試の過去問を買い漁ったりしていました(当時は問題集の数が限られていて市販のものは全てやってしまったため)。
アウトプットの訓練用にテキストやテスト類を購入するのはありかもしれませんが、例えば復習テストの成績を上げるために復習テストの過去問をするというような活用の仕方は良くないと思います。活用するなら、あくまで、最終的な入試に向けて、足りないポイントを補う目的でやるべきだと思います。

