少し早いですが今年の読書納め。2022年に読んで面白かった本を紹介します。

リンクがうまくはれず、申し訳ありません。書影は画像のみです。

 

●『君のクイズ』小川哲著(朝日新聞出版)

 

2023年1月の直木賞は『地図と拳』、4月の本屋大賞は『君のクイズ』で小川祭りだ!クイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆の0文字正解の謎に迫ります。クイズプレーヤーの脳内に入り込む新感覚小説。

 

 

●『横浜駅SF』柞刈湯葉著(KADOKAWA)

 

いつまでも工事が終わらない横浜駅がいつのまにか自己増殖を始め、本州が横浜駅にのみこまれエキナカになってしまうというぶっとんだ発想のSF。駅の外で生まれた主人公は「18きっぷ」でエキナカに入り、5日間の冒険が始まります。エキナカ住民は6歳になると脳にSuikaを埋め込まなくてはならないとか、微妙にJRのルールにのっとっているのが面白い。物語を補完する『横浜駅SF 全国版』とあわせてどうぞ。

 

 

●『入れ子細工の夜』阿津川辰海著(光文社)

 

新しいアイディアと実験精神にあふれたミステリ短篇集。特にミステリの犯人当てを国語の大学入試で問う話が面白かったです。同作者の特殊設定ミステリ『透明人間は密室に潜む』もおすすめ。

 

 

●『鯨』チョン・ミョングァン著(晶文社)

 

一代にして財を成し、あまたの男の運命を狂わせた母クムボク。並外れた怪力の持ち主で煉瓦づくりに命を賭した娘チュニ。巨大な鯨と煉瓦工場、華やかな劇場をめぐる予測不能のドラマ。童話のような語り口にひきこまれる、うねるようなストーリーの見事さは、いしいしんじさんの初期の長編小説や、エドワード・ケアリーのアイアマンガーシリーズのよう。読むべし!

 

 

そして今年の私的ブックトピックスは大好きなシリーズが完結、あるいは続編が出たことです。

 

髙田郁著『あきない世傳 金と銀 13』(角川春樹事務所)。幸のこれからのますますの幸いをねがって、祝!完結。

 

カルロス・ルイス・サフォン著『精霊たちの迷宮』(集英社)。「忘れられた本の墓場」シリーズ完結。最終巻を読んで、前3巻までのいろいろなことがつながりました。カルロス・ルイス・サフォンさん、素晴らしい物語を本当にありがとう。ご冥福を心よりお祈りいたします。

 

ケン・フォレット著『大聖堂 夜と朝と』(扶桑社)。『大聖堂』シリーズの200年くらい前を描いた物語。キングズブリッジの来歴がわかってワクワク。ケン・フォレットはやっぱり稀代のストーリーテラー。

 

今年も面白い本にたくさん出会えてうれしかったです。2024年も素敵な本に出会えますように。みなさま、よい年をお過ごしください。ウインク