『運命のボタン』リチャード・マシスン著(早川書房)を読みました。

 

訪ねてきた見知らぬ小男は、夫婦に奇妙な申し出をする。届けておいた装置のボタンを押せば、大金を無償でご提供します。そのかわり、世界のどこかで、あなたがたの知らない誰かが死ぬのです。押すも押さないも、それはご自由です…。

究極の選択を描く表題作をはじめ、短篇の名手ぶりを発揮する13篇を収録。

 

Eテレの『趣味どきっ!本の道しるべ』で、箱根のホテル、「箱根本箱」が紹介されていました。そのホテルの書棚に「横尾忠則さん」チョイスの棚があり、本書が紹介されていたので、興味をもって読了しました。

 

収録されている作品は以下の通りです。

 

『運命のボタン』:

ある日平凡な夫婦のもとに訪れた見知らぬ男。「このボタンを押すとあたなの知らない人が死ぬ。そして代わりに大金がもらえる」と言われます。夫にはその気がありませんが、妻は、お金欲しさにそのボタンを押します。亡くなったのは・・・。

 

『針』:呪いの人形の物語。

 

『魔女戦線』:

無邪気な少女達の正体は実は魔女。彼女たちは、戦争兵器として使われます。

 

『わらが匂う』:

妻を亡くした男のもとに怪異が襲い掛かります。

 

『チャンネル・ゼロ』:

刑事が少年の事情聴取を行う形で語られる物語。彼の父母消失の謎。

 

『戸口に立つ少女』:

ある夫婦が、近所にいた白いドレスの少女を、自分の娘の遊び友達にちょうどいいと思い、家に招き入れたことから経験する悲劇。

白いドレスの少女が口にした、少女の家の住所は・・・。

 

『ショック・ウェーヴ』:

80年を超える年代物のオルガンが起こす恐怖。・・・といっても、ラストが大げさすぎて私は笑ってしまった。

 

『帰還』:

500年先の未来への時間旅行の途中で事故に遭った男。過去に残された、妊娠中の妻は・・・。

 

『死の部屋のなかで』:

人が消える、異次元への扉のあるレストラン?・・・と思わせて、そのレストランの正体とは。

 

『小犬』:

母と小さな息子の絆を引き裂くがごとく、何度も現われる小犬。

 

『四角い墓場』:

旧式の拳闘ロボットが故障。自らロボットに扮して最新鋭のロボットと対戦する元ボクサーの中年男。

映画『リアル・スティール』の原作だそうです。

 

『声なき叫び』:

テレパシー能力を持つ少年。彼の実の父母が火事で亡くなり、保安官夫婦の家にひきとられる。SFっぽくて面白い話。

 

『二万フィートの悪夢』:

飛行機の機体にしがみつく怪物。男はそれを飛行中の窓から目撃しますが、誰にも信じてもらえません。

 

リチャード・マシスンは初めて読みましたが、『ミステリーゾーン』の脚本家だそうです。

私は怖がりなので、普段ホラーはまず読まないのですが、本作は短篇集なので読みやすかったです。

 

マシスンのほかの作品では、ウィル・スミス主演で映画化された『アイ・アム・レジェンド』などが有名。本作の表題作である『運命のボタン』も、キャメロン・ディアス主演で映画化されているそうです。