『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子著(集英社インターナショナル)を読みました。

 

 

 

 

「命の閉じ方」をレッスンする。ベストセラー『エンジェルフライト』『紙つなげ!』に続く、著者のライフワーク三部作の最終章。200名の患者を看取ってきた友人の看護師が癌に罹患。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、死への向き合い方は意外なものだった。最期の日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。著者が在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった自身の母の病気と、それを献身的に看病する父の話を交え、7年間にわたる在宅での終末医療の現場を活写する。読むものに、自身や家族の終末期のあり方を考えさせてくれるノンフィクション。

 

在宅での看取りを描くノンフィクションです。

ただ佐々さん本人は、もともと在宅看護についてはそれほど肯定的な意見はもっていなかったそうです。その理由は、看護する家族を家にしばりつけることになること、看護するための設備が自宅には整っていないこと、等々。

 

本書は、在宅医療に従事する医療者への取材だけでなく、佐々さん自身のお母様、そしておばあさまも発症したパーキンソン病で長く在宅介護が続いたことについても書かれています。

 

本書で印象的だったことば。

 

・西欧人は神に祈るが、日本人は食にすがる。

・余命を明かされた人が、受容に至るまでは5段階あるといわれる。はじめに拒絶、次に怒り、否認、鬱、そして最後に受容。しかし、受容まで行く人は本当に少ない。受容したかなと思っても、翌日にはもう怒っている。

・病気で人が変わるということはほとんどない、人は生きているように死ぬ。

・日本人はベルトコンベヤーのように入院し治療され、余命があかされてもそれをどう受けとめるかの哲学がない。

 

誰もがいずれは経験することになる家族の死、そして自分の死。

本書の内容だけでなく、自分は死を前にしたとき、どうするのか、家族だったらどうするのか・・・と、自分事としてひきつけて考えさせられる優れたノンフィクションだと思いました。

特に本書の中で、在宅で亡くなり、拍手で見送られた方の描写にはじんときました。

 

本作は、今年度のyahooノンフィクション大賞を受賞しました!佐々さん、おめでとうございます。拍手