『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』川添愛著(朝日出版社)を読みました。
なぜAIは、囲碁に勝てるのに、簡単な文がわからないの?なんでも言うことを聞いてくれるロボットを作ることにした、怠け者のイタチたち。ところが、どのロボットも「言葉の意味」を理解していないようで。
童話仕立てで、AIが言葉を習得する過程を知ることができる本です。
版画の挿絵もとてもかわいいです。挿絵は花松あゆみさんの手によるものです。
イタチ村に住むイタチたち。彼らは、「なんでも仕事をしてくれるロボット」をつくって、怠けたいと思います。
そのためには言葉を解するロボットをつくらなければなりません。
イタチはモグラやトカゲの村へいき、「ロボットが言葉を解する」とはどういうことなのかを、順を追って知ることになります。
1.言葉が音としてききとれて、音節にわけられる。
2.会話ができる(過去のたくさんの会話をデータとしてもっている)
3.質問に正しく答えられる(知的データベースの蓄積)
4.言葉と外の世界を関係づけられる(画像データの蓄積)
5.文と文との論理的な関係がわかる(AはBである ゆえにBはAである というような、文章同士の関係がわかること)
6.単語についての知識をもっている(伊丹十三が映画監督であること等)
7.話し手の意図を理解する(叩くには暴力を振るうと、バッシングするのふたつの意味があり、どちらの意味でつかっているのかを理解すること)
・・・などなど、
一口に「ことばがわかる」といっても、言葉とはどういうものであり、人はそれをどのように使い、お互いを理解しているかを明文化し、プログラミングするのは、大変な労力をともなう技術なのだなと思いました。
結果的に、イタチはぜんぜん怠けられていません(笑)
AI開発者をすごいと思うとともに、言語をそのときどきに応じて理解し、使っている人間も、すごいな・・・と思いました。