夏休みですね。
暇な時間も多く取れ、ネットサーフィンの捗る季節かと思います。せっかく知識を深められるチャンスですし、ちょっと真面目にカエルの勉強をするためのお話をします。え、勉強って何を?という方も多いでしょう。
ズバリ、「自分のペットに関して、何がわかっていないのか?」
これを知るために学術研究を参考にしてみようというのが本記事のテーマです。そして、可能ならその謎を自分で解明してやろうじゃありませんか。
とはいっても、自分は生物の専門家ではありません。
カエル関連の学術論文は趣味としてたまに目を通す程度です。
暇なんでこれを機にしっかり勉強しようとは思ったのですが、
せっかくなのでブログのネタ兼覚え書きにシェアできればと思います。
専門家の方から、いやコレは違うよ・・・というのがあったらご指摘いただけると嬉しいです。他分野の論文事情は全然よくわからないので・・・
前置きが長くなりましたがまずは、基本。
学術研究は専門家によって公式に報告された研究成果です。
研究者のお仕事(使命)はざっくりと「何かの研究をして、体系的かつ客観的にデータをまとめること」と「他の人にその手柄を取られないよう『論文』や『特許』と言うかたちで世に発表すること」です。
「利益」より、「大勢の人から見てもらうこと」を優先する大学での研究とかだと、特許より論文投稿が主です。この時、投稿できる論文雑誌ごとに難易度があり、例えば有名なNature誌やScience誌に乗るとそれだけ多くの人から読んでもらえますが、研究成果が雑誌の要求するレベルに合っていないと(本当に!)あっさりボツを食らってしまいます・・・いわゆるリジェクト、掲載拒否です。この雑誌ごとの投稿難易度についても今回の記事のシリーズで触れる予定です。
で、今回のようにどんな研究成果があるか調べたいときはグーグル・スカラーが
手早くて使いやすいです。何か研究機関に所属されている人はWeb of Scienceとか、機関ごとのデータベースのほうが便利かもですね。
この検索のところで、調べたい動物の名前を打ち込めばザラーっと研究論文が出てきます。
和名ではなかなか出てこない場合は英語名、もしくは学名を放り込むと良いかも。
皆さんご存知、アフリカウシガエルの学名Pyxicephalus Adspersusで調べるとこんな感じ。
一番上の『Metabolism and water balance of active and cocooned African bullfrogs Pyxicephalus adspersus』
を見てみましょう。アフウシの休眠状態と活動状態での代謝と水分要求の研究とのことです。
このページでは、アブスト、つまり論文要旨を見ることができます。
英語が読める人はこの状態でサッと目を通したらだいたいどんな研究がされてて、どういう成果が得られたのが簡潔にわかるようになっています。
まぁ面倒なら、最近は幸いグーグル翻訳の質がなかなか良いので、コピペして読んだらいいと思います。所詮要旨ですし。手早く内容が把握できたら良いんですよ。
で、ここから問題が出るんですよね。
本文が読めない。
ここからのアプローチとしては、
1. 所属する機関のネットワーク経由で読む。
→図書室とかあればそこからアクセスできる可能性があるかと。自分はこの方法で読んでいました。
2. 近所の図書館で文献複写を取り寄せる。
→自分はやったことありません。公共の図書館でもできるんでしょうか。スタッフの方に聞いてみて下さい。
3.自分で購入する
正攻法。しかし高いです。後ほど触れる、研究テーマ設定を本気でやろうとすると、膨大な量の論文を読むことになるので一つ一つ買っていると凄まじいお金が必要になり、現実的ではないかも。数報ならありかなぁ。
では日曜研究者(?)の我々はどうしたらいいのか。答えとしては「アブストだけ斜め読みするだけで良いじゃん!どうしても、どうして~も気になった時だけ本文を上記の方法で取り寄せる。」
それくらいの考えでいいと思います。
そもそも我々のレベルで知っていたら良いこと、というのは冒頭で述べたように「現状どのような研究がされてて、そして何がわかっていないのか」でしょう。
例えばアフウシの場合だと、骨格情報や雄の子守行動・地域個体差に関する報告が非常に多いです。反面、飼育下での複数個体の関係性であったり、代謝物の天然物化学であったりオタマジャクシの成長に関する論文は見つからなかったなぁという印象を受けました。
そして自分は家庭でできそうな複数飼育の観察を重点的にやってみようというモチベーションを得ました。
自分の飼育観察は学術研究と言えるレベルでは到底呼べない稚拙なレベルでしたが、興味の対象を細かく決めれたという観点で楽しかったですし、注視していたためにカエルたちの関係性をじっくり観察することができました。もう別居してるんですが・・・
生き物を飼育観察すると一言で言っても、漠然と見るのと、何か一つテーマを定めてそこを重点的に観察するのとでは見え方が変わってきます。
しかしこういうテーマって自分ではすごく設定しにくいんですよね。
ならば現在の研究の前線を見て、そこでできていないことのなかからやってみる・・・というのはもしかしたら自分の発見が世界一になる可能性とかも十分に潜んでて、なんか夢があるじゃないですか!
というわけで、観察テーマを設定するために学術研究を参考にしてみようというお話でした。本当の最前線は学会発表を聞くことなんですがこれはこれでハードル高いんで、次に新しい知の集積である学術論文から今の生き物界隈を眺めてみるとまた違う角度から愛するペットを見ることができるのかなぁと思います。
こんなマニアックな楽しみ方もあるよ、ということで。
アフウシはいいぞ
