今年7月にアメリカの調査機関ビュー・リサーチ・センターが発表したアジア諸国への世論調査で、衝撃の数字が出た。
日本に対する印象が、「非常に悪い」と「良くない」を合わせると、実に韓国人で77%、中国人で90%が、日本に対して「良くない印象」を持っていると回答したのだ。
また、「過去の軍事行動に対する日本の謝罪は不十分」だとする回答は、韓国で98%、中国で78%。大半が不十分とする回答だった。
他国ではおおむね日本への好印象が8割を超えており、謝罪に関しても他のアジア諸国では「不十分」との意見は少数派だった。
つまりこの調査でわかったことは、韓国人と中国人だけが圧倒的に「日本嫌い」だという現実である。
米国元高官「日米同盟の役割理解できなかったの鳩山氏だけ」
共和党きっての知日派であるリチャード・アーミテージ元国務副長官(66)は、日米双方で積極的に発言するなど、今なお米国の外交政策に影響力を持つ。同氏はこれからの日米同盟がどんな意味を持つと考えているのだろうか。アーミテージ氏に聞いた。
――中国の台頭を受けて、日米同盟の重要性は変わる?
アーミテージ:中国の台頭は21世紀前半のアジア、そして世界にとっての最も重要な問題である。そしてそれが日米関係にとてつもないインパクトを持つことは火を見るより明らかだ。すでにその徴候は、尖閣諸島での中国漁船衝突事件(10年9月)や中国空軍戦闘機による海自の情報収集機に対する威嚇行動(11年8月)などに如実に表われている。
中国の台頭を受けたアジアの戦略環境下において、日米同盟の重要性が高まることはあっても、低くなることなど想像できない。日米同盟はアジア全体の安全保障にとって、これからますます重要になる。
日本に基地があり、米軍が即応態勢を維持していること、そしてこの基地に駐留している米軍が、日本の防衛のためだけでなく、アジア諸国との軍事協力を進めて地域全体の安全と安定に寄与していることを忘れてはいけない。
鳩山政権時代に日米関係が最悪の状態になったことが示すように、それらに対する理解が、日本では不足していると思う。
当時、北朝鮮と中国を除く全てのアジア諸国が日本を次々に訪問して、外務省に対し「米国との関係を改善して欲しい」と懇願していた。これは、安定した日米同盟が、アジア全体の安全保障に不可欠であることの証左と言えるだろう。
在日米軍の駐留に反対している中国と北朝鮮を除けば、全てのアジア諸国が、地域全体の安定に日米同盟が寄与していることを理解し、日本に感謝している。残念ながら、日米同盟がアジアで果たしている役割を理解できていなかったのは鳩山総理だけだった。次の菅総理は、少しは理解していたようだが……。
日本が軍事費増やしても批判するのは中韓だけと櫻井よしこ氏
ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「東南アジア諸国は、次の時代を左右する重要なプレーヤーです」と指摘する。そして彼らもまた日本同様、中国の脅威に晒されている。日本は彼らとどう手を携え、どのように繁栄の道を進むべきなのか。櫻井氏が提言する。
* * *
日本は戦後自ら外国に出て行って貢献することを憚ってきましたが、もっともっと積極的に前に出るのがよいと思います。例えば昨年12月に野田政権が緩和した武器輸出三原則はアジアの国々に本当に感謝されています。
海賊対処のための巡視艇や、US-2型飛行艇、それに対潜水艦技術などは、緊張の海となった南シナ海周辺諸国、インド洋で中国の脅威を日々感じているインドなどにとって、切実に必要な技術であり、装備です。武器輸出三原則の緩和を徹底して行なうこと、さらに、その中にインドを対象国として含むことが大事です。
インドをはじめベトナムなどのアジア諸国は原子力の平和利用に関する技術協力も切望しています。日本の優れた技術を伝え、安全な原子力利用の基盤作りを助けることが日本の国益にもなります。
経済協力にせよ外交にせよ国家として継続して関わっていくシステムをわが国は構築し、人材を育てる努力を続けたいものです。外務省の担当者などは、2~3年で交代してしまう。短期間でクルクル代われば専門家は育ちません。長年同一人物に同じ分野で働いてもらい、それぞれの分野や地域におけるエキスパートになってもらうこと、加えて国際社会で日本の立場を広報し続ける努力が必要です。
東南アジアの経済成長率はヨーロッパや米国、日本をはるかに抜いて、これからも成長し続けます。日本企業もその将来性を見て、生産拠点を中国から東南アジア諸国に移しつつあります。東南アジアの高い経済成長率に加えて、人件費は中国よりもかなり割安です。おまけに、前述したように、日本に大変な親しみを抱いています。そうしたことから、中国から東南アジアへのシフトはもっと加速されてもよいと思います。
日本に友好的で信頼関係が結べる東南アジアの国々との経済関係を強化し、それらの国々に技術移転していくほうが、長期的に見て企業の利益にも、日本の国益にもかなうはずです。
安全保障面でも東南アジア諸国との連携が重要です。例えば、合同軍事訓練やコーストガードの合同訓練をより積極的に行ない、情報共有を含めて交流を深めることです。そしてなによりも今、東南アジア諸国が求めていること、それは日本自身の軍事力の強化です。日本に、今や共通の脅威となった中国の軍事力に対処する柱のひとつになってほしいと彼らは考えています。
日本が得手とする潜水艦は中国海軍に対して強い牽制となります。中国が原子力潜水艦、攻撃型原子力ミサイル搭載潜水艦を含めて71隻の潜水艦を保有しているのに対して、日本は16隻しかありません。急いで潜水艦の数を増やし、原子力潜水艦も持つべきです。それが南シナ海、西太平洋、インド洋の安全を守り、東南アジア及びインドなどの安全につながります。
これまで24年間、激しい軍拡を続けてきた中国の軍事予算は、公表ベースで2012年度には1064億ドルに達しました。実際にはその2~3倍だと言われます。中国に対抗するために東南アジア諸国も軍事予算を増やしている中で、予算を減らしているのは日本だけです。この異常な軍縮予算の壁を打ち破り、軍事力の不足を早急に埋めることこそ、東南アジア諸国を安心させる道です。
軍事費を増やしても、日本の「軍事大国化」を批判するのは中国と北朝鮮、韓国だけです。繰り返し強調しますが、東南アジア諸国は日本の軍事力強化、とりわけ海軍力の増強を期待しており、大歓迎することは間違いありません。海洋大国である日本と、海洋資源に恵まれたASEANの国々とのパートナーシップこそ、21世紀の国際社会を動かす大きな力となるでしょう。
