遠雷(1) | ストーリー短歌

遠雷(1)

遠雷(1)


い 今もなお忘れられない面影は 胸に浮かべど霧に霞みて


ろ 櫓の音の聞こえるような静けさに ときめきさえも隠す術なく


は 恥ずかしく紅差すように燃えた肌 転げるように薄れた意識


に 滲み出る育ちの良さに打ち解けて 罪の意識も抱くことなく


ほ 仄灯り心にともす一時は 何に変えても守り通さん


へ 舳先から見つめる沖に蜃気楼 幻の街幻の山


と 戸惑いはやがて炎と燃え上がり 堰切る流れ止める術なく