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僕を起業に踏み切らせたのは、会社の人間関係(主に上司からのパワハラ)が原因ではありましたが、
それ以上に「自分にはやりたい事があるし、それを叶える力もあるはずだ」という想いでした。
夢を実現するために起業関係の本を読んだり、セミナーに参加しました。
それらでよく目や耳にした話に「サラリーマン=鎖につながれたゾウ」というものがあります。
あなたを鎖をつなげ続けるために、会社は毎月の給料の支払いを約束します。
「安定した収入」がある事で、週末に友人と気兼ねなく飲んだり、恋人との来年の海外旅行を計画できます。
また、結婚したり子供を作ったりすることにも躊躇しなくて済みます。
対して起業する、という事は
「自由を得る」と同時に「収入を得るための戦いの世界に入る」という事です。
戦いですから10回やって3回勝てればいい方です。あとは負けるし、なぜ負けたのかもはっきりとしない事が多い。
これまで毎月銀行に振り込まれていた給料は、仕事がうまくいっていないとしても、
今月の成績が芳しくないとしても、嫌々ながらとりあえず毎日会社に行けばもらえる、約束されたものでした。
でも起業するというのは、その約束を自分自身で作り出すために必死に戦う、また戦う方法を探し出さなければならない、
探し出したとしても合っているのかわからない。
そういうサバンナの世界に入るという事なんだ、という事を覚えておいて欲しいです。
(僕は起業を否定しているわけではないし、会社員がいいといっているわけでもありません。ただ、そういうものだと知っておく事が必要だと思ったのです)
転職と起業は違う。そんなこと当たり前だろ、と思うだろうけど、
会社員が起業することは、はっきり言って
「根本的な思想そのもの」が180度違います。
会社員を辞め、起業する時、
僕はその「違い」をちゃんとわかっていませんでした。
起業する前、僕は3回転職し、4つの会社を経験しました。
主にテレビやウェブサイト、デジタルサイネージなどに向けてPR映像を作ってきました。
映像制作だけで考えると、15年ほどのキャリア。
次は転職じゃなく起業してフリーランスになろう。なんとかなるだろう。
軽い気持ちがあったのはいなめません。
開業届を出した数日後は月末。
会社員にとっては給料日です。
そうだ、自分にはもう給料というものは入ってこないんだなあ。
当たり前だよね。会社辞めたんだから。
それからもう時期は忘れましたが、その後いろんな通知が郵便ポストに入るようになりました。
住民税、年金、健康保険。
給料明細に書かれていたし、給料から天引きされているんだから
会社を辞めたらそれを自分で払っていくのはもちろんわかっていました。
それぐらい払えるくらい稼いだるわ!と強い気持ちもあったのであまり気にしていませんでした。
でもその、毎月毎月送られてくるこれらの支払いへの重圧が、
あんなにも自分を追い詰めることになるとは。