「潤。ずっと好きだった。・・・小学校の頃からずっと。友達としてだけじゃなくて、恋愛対象としてずっと好きだった。俺は、ずっと潤をそういう目で見てきた。」

 

『・・・は?』

 

「・・・まあ、そういう反応になるだろうと思って言わなかったんだけど。言わなくてもずっと一緒にいられるとも思ってたし?悪いな、勝手に恋愛対象にして。」

 

 

『聞いてねえよ。』

 

「聞かれてねえけど、最後だから言うだろ、そりゃ。どの道もう終わりならさ。」

 

 

僕は少しヤケになっていて、話し方が乱暴になる。

嫌われるならそれもいい。

諦めがつきやすくなるかもしれない。

 

 

『そんで、今はあの人と付き合ってんの?』

 

「・・・あの人?」

 

『この間・・・。』

 

 

「あ、翔?え?違うよ!?翔はただの同僚。同期で一番仲がいいけど、あの日はプレゼン行った帰りで・・・。」

 

『ああ・・・そうなんだ。』

 

 

「・・・そうだよ。え、ってか、引いてたの?俺が翔と付き合ってるように見えて?それで睨んで・・」

 

 

『違うよ・・・。』

 

「ん?」

 

『違うよ、バカ智・・・。』

 

 

「ま、まあ、多分俺が全部悪いんだろうけど。潤のこと勝手に好きになったりそのままずっと引きずってたり・・・。」

 

 

『だから違ぇって・・・』

 

 

潤の声がかすれる。

泣いている?

気づけば僕も、流れた涙がシャツにポタポタとこぼれている。

 

 

『そんなん、早く言えっての・・・。』

 

「・・え?」

 

『智が先に言えっての。』

 

「言えなかったから今いってんだろーがよ。」

 

 

わけが分からずに、声を荒らげてしまう。

潤が何かを言ってくれていることはすごく嬉しいのだけど、なにしろ意味が分からないのだ。

 

 

少しの間、僕の耳には潤が鼻をすする音が聞こえていて。

なんで、泣くの?

もうこれで本当の最後になることを、潤も悲しんでくれているのだろうか。

 

 

「聞いてねえとか言いつつ聞いてくれるのが潤だよな。やっぱ、俺の好きな潤だ。・・・いつかさ、 」

 

『俺も好きだよ。』

 

 

「・・・え?」

 

『ふはっ。ふざけんな。聞こえただろうが。』

 

「あ、いや、ん?なんて?」

 

『同じだって言ってんの。俺も。』

 

「・・・ん、あ、いやちょっと何言ってるかわかんない。」

 

『2度も電話で言うか。聞きたければ俺を見つけてみろよ。』

 

「え、それってどういう・・・?」

 

 

見つける?

聞きたい、知りたい。

つまり、会いに行っていいってことだろうか。

 

 

「会社行っ・・・。」

 

『会社以外で。じゃね。』

 

「ちょ、ちょ!潤!」

 

 

潤は電話を切って、僕はスマホの画面を見つめる。

 

え?

 

 

 

 

(つづく)