会えなかった間の欲望を放出した後の、ベッドの中でする会話が僕は好きだ。
智くんはどう思ってるか知らないけど、僕らは本当にいろんな話をする。
盛り上がったり盛り上がらなかったりだけど、問題はそんなことじゃなくて、僕はとにかく智くんのことをたくさん知りたかった。
「智くん、・・・潤元気?」
「うん。元気だよ?」
「なにか聞かせて?」
「ふふ。潤のこと?」
「ん。」
「そーだなぁ。最近また和食しか食べない時期に入った。ふふ。」
「ははは。」
「でも俺にはたまにシチューとか作っといてくれたりしてる。」
「そうなの?」
「うん。むしろ、おんなじもの食うって言ってんだけどね。」
「へえ。」
智くんがいつもより饒舌になって嬉しそうな声を出すのに、僕は密かに胸を痛める。
でも、なぜだろう。
潤の話をするときの智くんの甘さが、たまに恋しくなるのだ。
自分への戒め以外にも、たまにこうして潤のことを知りたくもなる。
「デートとか最近はどこでするの?」
「・・・・。」
「ん?」
「・・・この間は釣り。」
智くんの声がすこし不機嫌に聞こえて、僕はあと少しでこの話題は終わりにしようと思う。
「潤もなにげにアウトドア派だもんなあ。」
「ふふふ。翔ちゃんよくバーベキューやらされてたもんね。」
「あいつ、断る隙を与えないんだよ。」
「ふふ。甘え上手だからね。」
「旨い肉手に入れんのはいいけどさー、いつの間にかすごい人数になるし。」
「ふふふ。」
懐かしいと思うくらいに、潤とは会っていなかった。
潤も、僕の智くんへの気持ちは知っていたと思う。
あいつも優しいから、きっと簡単に声をかけてこられなくなったのだ。
「智くん?」
「ん?」
「潤に、俺と会うこと知らせることあるの?」
「うん。たまにランチの時とかは、夜話したりする。」
「そか。なんか、言ってる?俺のこと。」
「んー。まあ、何も言わないけど。」
「そっか。」
どうか潤が気づいていませんように。
ただ、僕に引け目を感じているだけでありますように。
やっぱり僕は、潤を傷つけたくないのだ。
(つづく)