遠くまで

 

智くん、僕は、

あなたと笑っていられたらそれでいいんだ。

 

いつだってそばにいたいけれど、それは贅沢だし、無理だから。

せめて空間を共有している間は、あなたの声を聴いて、あなたの笑顔を見つめて、できるだけ視線を合わせていたいんだ。

 

特別なことじゃなくていいんだ。あなたといる日常に、小さくも大きな特別が散りばめられているから。

 

僕があなたをこんなに想うのは、あなたの可愛らしさが愛おしいからだと、周りは思っているかもしれない。

 

だけど、彼らは知らないんだ。

 

僕らが手を繋ぐとき、救われているのは僕の方で、導かれているのも僕の方。だから強く握り返すんだ。ずっとあなたと、いられるように。

 

僕らが肩を組むとき、支えられているのは僕の方で、包まれているのも僕の方。だから、横顔を見つめるんだ。あなたを見失わないように。

 

なにしろこの日常が、僕らにとっては奇跡だから。

 

あなたと紡いでゆくこの時間が、いくつ季節が変わっても、変わらず笑顔で溢れていますように。

 

智くん、僕は、

あなたとずっと笑っていられたらそれでいいんだ。