「どうして泣いているの?」『悲しいから泣いてるの』

「何がかなしいの?」『分からない…でもね…』


笑っていることが私の仕事で、人形としかみられない。

ずっとそうだった…、そうやって見られてきた。

泣くと、みんな離れていってしまう…。


心は大雨…でも、それを打ち消すように、笑顔に切り替える。


…誰も気付いてくれないの。

真っ暗な夜に、私が一人で肩を震わせて泣いているのを。

助けてって震えた声で叫んでいるのを。


本当は、苦しくて苦しくて、消えてしまいたいほど苦しくて…。


でもみんな存在することを要求するの。

「笑わなくていい」と、そう言ってくれる人がいたらいいのにね。


頑張らなくても、いいよって。

でも、誰かいてくれる。そうだと信じたい。


裕紀をずっと待ってる。分かってるよ?来ないって。

でも、もしかしたら…って…。


だってね、待ってたら何か起こるんじゃないかって思うから。

りなと話せた。司と話せた。

HPを見て、気付いてくれた。

いつか、他のみんなも見つけてくれたらな、て思う。


はぐれても、また見つけ出せたら、

それはきっと、本当に運命だったと思う。

みんな、そうであってほしいと願ってる。

デートをした。カラオケに行った。

ふいに好きな人が言った。


『葉花はいい子だね♪』


それから放心状態で、気付いたら涙が頬を伝ってた。


彼は私の異変に気付いて、

「…どうした?なんかあった?俺なんかした?」

『…なにもないよ♪ははは…』

「言わないとダメだから」


…あのね…思い出したんだ…。

最近ずっとひっかかってたもの。今でも

心がいたい。辛い。


何?今更、いい子ぶってるの?


「そうやって言われたの?」

『…うん…』


涙が止まらなくなった私を強く抱き締めてくれた。

そんな彼を強く抱き締め返した。


私は決していい子じゃない。ダメなところも沢山ある。

最悪なところも。

だからね、勘違いしないで。私、いい子じゃないの。