現在、こちらで小説を書いています。興味ある方はどぞ。


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というわけでほかのサイトとかけもちして苦しくなったので、このブログはここで中断いたします。

ご愛読ありがとうございました。

「あああひまだなあ。」
タロウはごろごろと床に転がっていました。休日なのになにもやることがなかったからです。やがて転がるのもイヤになって、天井をずっと見つめました。しかし、無地の天井を見つめてもしょうがありません。
タロウのすぐそばに棚がありました。床に転がってるタロウから見たら、棚が見下ろしているようです。
ふと、棚の頂上からなにか丸いものがはみ出しているのが見えました。ぼたもちかな?とタロウは思いました。「棚からぼたもち」などと実現したらそのことわざが意味するごとく、得した気分あろうとタロウは予測しました。
丸いものはどんどんはみ出てきました。いまや丸のほとんどが現れ、満月の手前のようでした。

そして全貌がむき出しになったとき、それが落ちてきました。

しかし落ちるときによくあるような、きりもみ回転がありません。なぜかそのままの水平位置を維持しながら落ちてきます。それはタロウの顔の上めがけて落ちてきます。
とっさにタロウは体の位置をずらしました。

ズドローーーン!!!!!

見ると、床に大穴が開いています。穴をのぞくと30cm大のぼたもちがあります。しかしそれはぼたもちというには異常なほどの質量です。

ズドローーーン!!!!!

タロウは驚きました。タロウのすぐ脇にぼたもちが墜落して床に穴があいたのです。タロウは天井を見上げました。棚から次々とあのぼたもちの丸い影が現れています。

タロウは部屋から逃げ出しました。

ズドローーーン!!!!!

ズドローーーン!!!!!

ズドローーーン!!!!!

部屋の外でタロウは安堵のため息をつきました。もう大丈夫だろうと。

バゴーン!!!

タロウは驚きました。壁を突き破ってぼた餅が飛んできたのです。

バゴーン!!!

バゴーン!!!

バゴーン!!!

ガラガラガラガラガラ。

と、やがて壁が崩れたとき、タロウはその正体を見ました。棚の天辺からぼたもちを発射していたのです。シュイーンと音をたてながらそれは猛高速で飛びました。

とうとうタロウは家から逃げ出しました。

シュイーン。シュイーン。シューイーン。シュイ・・・

やがてその音も聞こえなくなるほど遠くまで逃げた彼ははあはあとあえぎ、座り込みました。もう届かないだろうと。

そこは公園でした。ああひまだなあとタロウは再び思いました。公園でごろごろするわけにもいかないので、ベンチにすわって木でも小鳥でも眺めていました。

ふと砂場から砂煙がふああと出ていました。なんてことない光景です。いまやタロウはその光景さえ楽しめるほどひまになりました。タロウはずっとその砂煙を眺めていました。風は吹いてません。
砂煙はどんどん強くなり、天へと舞い上がりました。そしてゴゴゴゴゴゴゴと地鳴りのような音が聞こえました。なんだろうとタロウは注視しました。
砂煙の間から四角いものが現れました。それはどんどん姿を現しに上昇します。砂煙なのでそれがなにか影しか分かりません。やがて四角いものが上昇をやめると砂煙が止みました。
そして姿をはっきりと現しました。棚です。

「うわわわわわわわ!!!!」
タロウは悲鳴をあげました。棚はぼたもちを構えてタロウに狙いを定めました。

「またれい!」
その時声が聞こえました。そして現れたのはごくみすぼらしいスーツを着たおっさん。
おっさんは言いました。
「天才は忘れたころにやってくる。わたしがその天才、オサナカ・ナサオだ!」
ぼたもちが飛びました。
シュイーン。ズガ。
「ぬあっ。」
あえなくナサオは倒れました。

タロウはどうしようか公園で逃げ惑いながら考えあぐねていました。棚は歩きながらぼたもちを発射して追いかけます。どこまでもどこまでも追いかけてきます。
ふと、名案が思いつきました。

昏倒しているナサオの右足をつかんでタロウはぶんぶん振り回しました。そして遠心力で限界に達したときにタロウは棚めがけて足を離しました。ナサオの身体は棚に衝突して棚は破壊されました。

ズガガガンガン。

棚は「イイイイイアアアアアアアアァァァァァ!」と悲鳴を上げ(?)、大量のぼたもちを中から噴き出し、公園にまかれ、木に衝突して木が倒れ、シーソーが破壊され、ナサオもさらにぼこぼこにされ、やがて止みました。

タロウは勝利したのです。

事のきっかけは、鳥賊対大学での講義であった。教壇に立っているのは還暦を迎えたばかりの九塁教授である。その時の講義の内容はかつて孤島グラで栄えていた帝国ヌジャワキシンの歴史であった。
「え~、西暦368年、イル・ナンケストラウラウー十ニ世はペランクチと呼ばれる麻薬の使用を取り締まるために法を改正しました。」
相田小見朗と言う青年は、退屈そうにそれを聞いていた。本来聞く気などないのだが単位を落とさないためにも聞かなければならない。
「これを受けて民衆はクーデターを起こしました。イル十二世は逃亡したのですが、捕まり、処刑されました。代わりにゲモゲモ・プチラモラが王に立ったのですが…。ぬっ…ぬぁ…ぬぁぁぁああああ!!!!」
突然九塁教授は頭を抱えて大声で吠えるようにうめいた。相田含めて生徒等はどうしたのだろうと彼を見た。九塁教授の顔が上がった。白眼を剥いて泡を吹いていた。そして痙攣しながら別人のような大声で叫んだ。
「朕は…神帝なり!」
生徒はざわめいた。
「朕は…神帝なり…朕は…この九塁教授の口を通して、この世界の終わりを告げたもう思ふ!皆の衆、ヴィデオキャ-メラを準備せよ!」
生徒等は急いで携帯を取り出した。相田はカメラを取り出した。神=九塁教授は踊り出し、七五調で言った。
「これから起きる、出来事は、世界の終わりの前触れだ、蟻が突然踊りだし、月が微笑み笑いだし、鉛筆転がしこーろころ、人々が皆、コサックダンスを、した時この世は終・わ・る・だあああああ!!!」
そして九塁教授は教壇に勢いおくヘッドスライディングしてころげ落ちて気を失った。しばしの沈黙の末、生徒等は出し抜けに恐怖に脅えて逃げ出した。相田も逃げ出したが、これはマスコミに知らせるべきだと察し、テープをコピーして各新聞社に送った。

「ニュースです。鳥賊対大学教授の九塁氏が講義中に奇行を行いました。以下、大学生徒から入手したVTR。」
「…界の終わりの…触れだ、蟻が…然踊りだし、月が微笑…笑いだし、鉛筆転が…こーろころ、人び…が皆 コサックダン…を、した時この世…終・わ・る・だああ…ああ!!!」
ずどっざざざざざざ。仰向けになった教授は痣だらけのまま気絶している。画面は突然上下左右に揺れ、悲鳴が満ちる。VTR終了。
「…これに対し九塁教授は『過労による一時的な錯乱だった。申し訳ない。』大学長も『このような事が無いよう今後も指導して行きたい。』コメントしました。」
しかし、この報道に相田はやはり疑問に思った。そんなわけはない、あれは本当に終末の預言だろう、結局マスコミはそんなもんなのか。
そしてある日…

「やしゃやしゃ、やしゃやしゃ…」

どこからともなく小さな掛け声が聞こえて来た。いったい何だろうと友達と街を歩いていた相田は見回したが分からない。悲鳴が聞こえた。何だろうか。
「やしゃやしゃ、やしゃやしゃ…」
やがて相田はその声が地面から響いている事に気付いた。そして地面を見た。相田は悲鳴を上げた。悲鳴は他方からも次々と上がっていた。友達も悲鳴を上げた。
「やしゃやしゃ、やしゃやしゃ、やしゃ…」
なんと道路に大量の蟻が後ろ足二本で立ち上がってやしゃやしゃ言いながら踊っていたのだ。相田は友達、さらには見知らぬ、パニックになった人々と話し合った。
「これは…」
「『蟻が突然踊りだし、』まさにこれではないか。」
「やしゃやしゃ。」
「気のせいだよ。ただの偶然さ。」
「偶然?これが?必然にも程があるではないか。」

…その偶然あるいは必然はさらに続いた。
ある夜の事である。
「おおお見ろ!」
「なんだよ…ん?…うわぁぁ!」
「そんな…。」
真空に遮られているにも関わらず、月が音を立ててゴゴゴゴゴと震えていた。やがてずごごごんと弧の形に地割れして溶岩が吹き出た。まるでそれは…
「月が…月が微笑んでいる!」
そして地割れは上下に広がり裂け、高笑いのような声が聞こえた。
「へあっはっはっはっ、へあっはっはっはっはっ、へあっはっ」
「『月は微笑み笑いだし』預言は正しかった!この世は終わる!終わるぅぅうぅ!」
「こんにちは。」
「畜生!こんなアリエナイ荒唐無稽な事があってたまるか!」
「ははっ何を言う。偶然だよ。偶然。」
「偶然なわけない!これは神の起こした必然だ!」
「ははっ馬鹿言え。いくら神でもここまで強引な事するか。」
「奴邪悪鬼神ならあり得るぢゃないか。」
「なるほど。」
「やしゃやしゃ。」
「うわ、蟻が踊ってるよ…」
「次の預言はなんだっけ…?」
「『鉛筆転がしこーろころ、人々が皆 コサックダンスを した時この世は終・わ・る。』」
「そうか、次は鉛筆だな。」

政府もようやく預言を信じるようになった。そして預言の成就を恐れたのか、鉛筆廃止令を出した。たちまち全国各地の鉛筆の回収命令が出された。

さて九塁派と呼ばれる集団がいた。彼等はかの九塁教授の預言を成就すべきだ、と言う信念を抱えていた。恐ろしい事に九塁派が鉛筆工場を乗っとった。
鉛筆工場で彼らは集会を開き、何やら拍手しながら預言の一節を唱和していた。
「鉛筆転がしこーろころ、鉛筆転がしこーろころ、鉛筆転がしこーろころ。」
追い詰められた人間は何をしだすか分からないとはまさにこの事である。辺りには集団の狂気に満ち満ちていた。やがて九塁派の代表が鉛筆の箱を持って叫んだ。
「時は来た!預言を成就させるのだ!政府は預言を阻止しているが、そうはいかない。今から我々は鉛筆を転がすのだ!今から転がすのだああああ!」
「おーー!」
そして人々は再び「鉛筆転がしこーろころ!」と唱和した。代表のその人は鉛筆の箱をゆっくりと傾けた。「鉛筆転がしこーろころ!鉛筆転がしこーろころ、鉛筆転がしこーろ」
どんどん傾き、やがて箱から幾多もの鉛筆が飛び出した。鉛筆はざらざらと落ちてかんかんと地面を跳ねてころころと転がった。そして盛大な拍手と歓声が上がった。
「え…鉛筆が転がったぞ!」
「もっとやれ、もっとやれ!」
連中は怒号を上げて暴徒の如く突進し、次々と鉛筆の箱を取り出して次々と地面にばらまいた。たちまち床は鉛筆に溢れ、鉛筆の代わりにつまづき転ぶ者もいた。彼らの顔は鉛筆を転がした事への歓喜に満ちていた。
しばらくして九塁派の人々は去った。縛られていた工場の人々はなんとか抜け出し、電話に向かった。そして警察に通報した。

<九塁派遂に鉛筆転がす>
本日未明、九塁派一団は鉛筆工場に侵入し、全ての鉛筆を転がした。警察は現在行方を追っている。これに対し目瘤総理は「今現在の状況において、このような軽率な行動に走った事に誠に憤りを感じる。」とコメント。
このニュースをみて相田は驚いた。相田だけではない。多くの人々が恐怖に怯えた。「後はコサックダンスだけだ!」「そんな!」「いやぁぁ!」「ひえぇぇ、あわぁぁ、むぎぃぃ!」
そして預言がかなう事を人々は恐れた。預言を細かく見れば「人々が皆コサックダンス」なので、いつ自分が踊り出すか、それを怯えていた。コサックダンス禁止令なるものも出た。
だが、いつまで経ってもそれは来なかった。あれだけ預言が成就したのに人々のコサックダンスだけは訪れなかった。人々は焦った。なぜ成就しない。はやく来い。「はやく来い!」「もう預言に怯える生活はいやだ!」「いい加減終末来てくれ!」「終わりたい!終わりたいよぉぉ!」
「いや待てよ?」と人々は気付いた。「我々がこう待ってるのは無意味なのでは?」「そうだ、九塁派を見習うべきだ!」「皆でこの世を終わらそう!」「おー!」
人々は次々とコサックダンスを始め、それは一気に広まった。皆、預言から解放され、次の滅びへの期待に目を輝かせていた。
コサックダンスをしなかったのは世界中で数える程しかなく、その中に相田がいた。
「ちょっと待て!それが作者の罠じゃないか?登場人物が言いなりになってはいけない!」
だがその言葉も虚しく、ひたすら人々はコサックダンスを続けていた。力尽きるまでそれは続いた。

しばらくお休みいたします。

3月後半ごろに再開見通しです。