最近話題である「Blackadderコード」の正体について私見 | かみぶろ

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DTMを楽しむ音楽人、神威ユイ(Yui Kamui)のブログです。
楽曲制作や同人イベントへの参加等、聴いた楽曲のレビュー等、音活にまつわる話をつらつら書いてます。

去年暮れ辺りからニコ動やDTM界隈で話題になっている、所謂「Blackadderコード」或いは「イキスギコード」…

ルートに対して「(増4度)減5度のaugコードを乗せる」という一見奇抜な組み合わせが、ひと味違う刺激的な響きを醸し出していている、といった所でしょうか。何だかかつてのジミヘンコード(Ⅰ7(#9))と同じ匂いを感じます(笑)

 

とはいえこれだけ毒気の強いコード、無闇やたらに使ったところで楽曲の破綻を招くのは明白なので

どんな場面で使えるのか?というのを私なりにこの場で掘り下げて行ってみようかと。

 

さて、結論から述べるとこのコードの正体は

「ある3種類のスケールから導出される対応コードの変化形」です。

従って、「使える場面=これらのスケールが適用出来る場面」と言えます。

 

そのスケールとは…

①Lydian7thスケール(R、9、M3、#11、P5、13、m7)

②Altered Dorianスケール(R、9、m3、11、o5、♭13、m7)

③Whole Toneスケール(R、9、M3、#11、+5、m7)

 

いずれもメジャースケールからは導出されないスケールですね^^;

 

このコードの形は「Ⅳ#+/Ⅰ」(※別表記として「Ⅶ♭+/Ⅰ」も考えられる。「Ⅱ+/Ⅰ」はあまり適切な表記ではないか)

構成音を紐解いていくと…

「Ⅳ#+/Ⅰ」⇒「Ⅳ#、Ⅵ#(Ⅶ♭)、Ⅱ/Ⅰ」⇒「#11(o5)、m7、9 / R」

…という事は#11(o5)、m7、9の3つの音全てをコードトーンまたはテンション音として使えるスケールが対応スケールと言えます。

 

スケールに沿って表記するならば下記の通りになるのでしょうか。

①Lydian7th…Ⅰ7(9,#11) omit5

②Altered Dorian…Ⅰφ7(9) omit3

③Whole Tone…Ⅰ7(9,#11) omit5

 

整理すると、このコードを曲中で使えそうな場面は主に以下のケースが考えられます。

勿論、メロディを始めとした他に鳴らす音との関係を考慮した上で慎重に選択する必要があります。

 

・4度上のメジャーコードへドミナントモーションする時(ex.Ⅴ7→Ⅰ△7、Ⅰ7→Ⅳ△7)

・半音下へのマイナーコードへ移動する時(ex.Ⅲ♭7→Ⅱm7、Ⅶ♭7→Ⅵm7)

・φ7コード使用時(ex.Ⅳ#φ7→Ⅳ△7、Ⅶφ7→Ⅲ7)

 

Blackaderコードの正体が見えてくると、使い所についても様々な応用が利きそうだな…と思った一方で、

(D7C対応スケール外のスケールを用いる事になるので)使用する際は十分な知識と、不快な響きに聴こえさせない確かな耳が求められると感じました。

折角考察してみたので、私自身も一度このコードを織り込んだ楽曲を書くことに挑戦してみたいと思います。

 

当記事を書くにあたり、MusicPlanz様のHPに記載されているテキスト(主に音楽理論2の分野)を参考にさせて頂きました。

興味がありましたら一度ご覧になってみては如何でしょうか。

(因みにMusicPlanzの会員内でもこのコードについては話題になり、解析されておりました)

↓↓

http://musicplanz.org/academy/textbooks