前回のお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズのことをいろいろ思い出していたら、「兄さん!」と、潤がおれのことを呼ぶ声が耳に入ってきた。

 

 

「え、な…に…?」

 

 

ハッとして慌てて潤のことを見ると、ムッとした表情をした潤の顔が見えた。

 

 

「な…に…じゃないよ。一人で微笑んだり照れたりして、何考えてるんですか?」

 

 

睨んでいる潤を見て、おれは何も言えなかった。

せっかく潤が夕飯の用意をしてくれたのに、おれはご飯を目の前にして何もしないで独り百面相状態だったみたいだから、潤に何を言われても文句なんて言えないから。

 

 

「ごめん、潤。ご飯、冷めちゃうよね。いただきます」

 

 

慌てて手を合わせて、それから直ぐに食べ始めた。

ご飯はいつも通り、おいしい。

潤が作ってくれるご飯は、いつも美味しいんだよね。

 

 

 

 

「「ご馳走様でした。」」

 

 

食後の挨拶をして、すぐにお風呂を沸かしに行った。

お風呂が沸いて、暫くしてから、先に入らせてもらうことにした。

 

 

 

 

ザッバーン!!

 

 

お湯を体全体にかけ、それから湯船に浸かる。

 

 

気持ちいい~!

 

 

湯船のお湯をすくって、顔にかける。

あったかくて、気持ちいい!!

 

 

湯船の縁に頭を預け、天井を眺める。

気持ちよくて、眠気が出てくる。

目を閉じ、おれはそのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

カズ…

 

かわいい…カズ…

 

おれと…一緒に…

 

 

 

 

パッと目が覚める。

さっきのは…何…?

もしかして、夢…?

 

 

夢に出てきたカズは色っぽくて妖しい感じで…

まるで誘っているかのような…

 

 

そう思い出してから、頭を思い切り振った。

 

 

何を考えてるんだ、おれは!

まだ出会って間もないカズのことを、どんな風に思ってるんだよ!

それに、カズに失礼じゃないか!

 

 

そう思い直してはみるけど、明らかにおれはカズのことを意識している。

もう、きっと、カズのことを考えないでいられなくなっている。

 

 

これは自覚するしかないよね…

おれはカズのことを好きになったんだ…ということを…