(BL小説/AS櫻葉妄想小説)
執事の翔ちゃんのお誕生日がもうすぐだ。
ゆっくり休ませてあげようと、雅紀坊っちゃまが「休暇」を提案したのに。
働き者の執事は、「結構でございます」と言う。
「坊っちゃまといる方が、ずっと楽しいので」
と、綺麗な笑顔で言われてしまったので、坊っちゃまは、嬉しくて踊り出したくなってしまった。
しかし、365日休まない執事は、疲れていないはずは無い。
「よし。翔ちゃんと休暇するゾッ」
優しい坊っちゃまは、両手を握り拳にして、決意した。
執事のお誕生日は、1月25日。
前日から翌日まで、三日間楽しい予定だけを考えた。
「え……と。24日は仕事入れないで、二人で高級店のランチとディナーと買い物。25日は、遠出して一泊する」
坊っちゃまは、一人で顔が笑ってしまう。
「……これって、恋人同士のデートみたいじゃん」
執事を休ませようとすると、坊っちゃまが休みを入れなくては、休めない。
坊っちゃまのそばを、執事が離れることは無いからだ。
「なんか……プレゼントは、どうしようかなあ」
美人で色っぽい執事様。
どんな服も、宝石も似合いそう。
「ゆ……指輪……とか? ///」
指輪を渡すところを、一人で想像して真っ赤になってしまった。
まるで、プロポーズのようだから。
猫背で坊っちゃまは、きゃあっ//と、小さな悲鳴をあげて、両手で顔を覆ってしまった。
「だ……だめだ。恥ずかしすぎるぞ」
そういえば、執事の好きなものって何だろう。
好きな食べ物も、趣味も聞いたことが無い。
いつも、食事は坊っちゃまに合わせてくれるし、休みも無い生活では、趣味をする時間など無いからだ。
「翔ちゃん……本当に俺のそばで、楽しいのかなあ……」
急に坊っちゃまは、心配になってしまった。
続く