(BL/MS/潤翔妄想小説)
*Dom/subユニバース・パロ風(オリジナル)*
(17)
潤は仕事も、その容姿も優秀で、Domとしての才能もあった。
だが、翔のようなSubは初めて出会った。
こんなにも、か弱い純粋な、Subの特徴が色濃い青年の翔。
潤のコマンドがなくては、通常の生活もできなくなってしまうほど。
Domとして、恋人としてなら、何にも問題なかったが、社長と秘書という立場。
さらに大きな企業を支えなければならない。
たくさんの人々が、この企業で家族を養って暮らす。
それを守るのが、翔の仕事だったから。
だが今の生活では、必ず破綻がくる。
「どうすれば……」
別れるなど考えられない。
翔は、潤が捨てれば死にかねない。
そんな潤の前に、ある女性が現れた。
ホテルの前で、通りすがりに背の高い大きな帽子のタイトなワンピースの女性が、潤と翔を見て微笑んだ。
不審に思った潤が振り返ると、女性が真っ直ぐこちらを見つめていて言った。
「こんなに美しい二人もいるのだな」
「……?」
「主従関係は、逆のようだが……」
「何を……」
慌てた潤が、一歩前に踏み出した。
「お前が……Domか。なるほどな」
女性が小声でいう言葉に、隣の翔は震えたのが、潤には分かる。
「失礼じゃないか」
怒りを抑えながら、潤が言うと女性は、何でもないように笑顔を見せた。
「そうだな、失礼は詫びよう。だが気に入った。何かあれば、訪ねてくるといい」
女性はそう言うと、小さなメモリーカードのような物を手渡してきた。
「私の名前は、呉坂 亮だ」
帽子を取り艶然と微笑む顔は、洋風でハッキリした目鼻立ちの整ったもの。
何より背が高く、男性のような逞しい体つき。
高いヒールは、赤く血の色で、彼女が今まで踏み荒らした企業の返り血のよう。
彼女が、後に翔の婚約者となる女性だ。
彼女は、DomやSubでは無い。
およそ性と言うものには、興味や関心もない特殊な無の性の女性だった。
これは偶然の出会いではない。
狩人として、彼女が仕組んだもの。
獰猛さで有名なカリスマの経営者が彼女だ。
彼女が次に狙ったのは、翔の会社だった。
続く
強いキャラも好き。