(BL/OS/お山妄想)

*SFファンタジー小説

 

 

(10)

 

櫻井君を思いながら、キャンパスやスケッチブックへ向かうようになった。

毎日、ポストを見るけど手紙は来ないまま。

 

頑張って絵を描いた分、展示会や個展も多くなった。

他は、企業の依頼の仕事をして過ぎる。

 

いつか、きっと、二人は会えるはず。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

そう思っているうちに、2年が過ぎた。

 

時々、櫻井君を見に行って仕事に向かう。

 

そんな日が、まだ続いていた。

 

 

 

「櫻井君、会社にいないのかなあ……」

 

何度か、喫茶店に通っても、姿を見られない日が続いた。

 

寂しくなって、家に帰って久しぶりに手紙を書いた。

 

 

 

『櫻井翔様

 

 ずっと待っていますが、あなたの手紙が途絶えて、2年経ちました。

 それで、あなたを探しに行きました。

 時間がかかったけど、あなたを、やっと見つけました。

 あなたが言っていた、ドームのそばで仕事に行く所でした。

 顔がわからないから、時間もかかったけど。

 相葉君に、貴方の顔を教えて貰いました。

 (すごく不審がられたけど)

 そして、この2年で色々な貴方を、遠くから見ました』

 

 

 

 

明け方のポストに、書いた手紙を入れる。

 

「お願い、櫻井君に届けて」

 

ポストに手を合わせたけど、手紙は何度入れても消えなかった。

 

そのうちに、夜は明けていく。

明るくなる中、心はどんどん暗くなった。

 

「ダメかあ……」

 

仕方なく、ポストから手紙を取り出して家に持って帰った。

 

机の引き出しから、櫻井君から来た手紙を出す。

 

「そういえば……」

 

櫻井君の最初の手紙の内容は、俺に会いたいって書いてあった。

 

「俺が、いないってこと?」

 

 

『今、どこにいますか?

とても会いたいです。

一緒に、またお酒も飲みたいし、一緒に眠りたい。

約束した旅行も、行きたい。

あなたがいないと、何をして良いかも、わかりません。

夢でいいから、会いに来て下さい。

愛しています』

 

 

櫻井君の手紙は、切ない言葉が並んでいた。

 

 

「……俺、どうなったんだろう?」

 

櫻井君のいる世界の俺は、どうしていないんだろう。

別れた? それなら、こんな手紙書くかな?

 

俺は、自分から別れ話をしたことがない。

どれだけ揉めても、相手が言わない限り。

 

きっと、今までの恋人には執着してなかったからだ。

どちらでも構わなかったから、腹が立つこともなかった。

 

愛情は、作品へのものよりずっと、薄いものだったかも知れない。

 

……そんな俺は、やっぱり別れてくれって言われた?

 

「いや、櫻井君て、そんな感じじゃない……」

 

 

 

ずっと考えて、ある考えに行き着いた。

 

「俺、もしかして……死んだのかな?」

 

2020年に出会って。

2021年に、いない俺。

 

今は、2020年になった。

もうすぐ、手紙の通りなら櫻井君と出会う講演会があるはず。

 

 

 

「俺って、1年以内に死ぬの?」

 

……怖いけど、それなら納得できる気がする。

 

 

 

続く

 

照れブルーハーツラブラブ

今夜21時に「夜想曲」(3.5)をUPします。

本編ではカットしたイチャイチャなので、すぐ限定になります。

アメンバーじゃない方は、急いで読んでね。