(BL/MS/潤翔妄想)

*Dom/subユニバース・パロ風(オリジナル設定)

 

 

(16)

 

愛し合い、恋人になった二人だったが、困ってしまう。

翔が別人のようになってしまったからだ。

 

昨日までの暴君のような行動は、嘘のように消えてしまった。

今は人が変わったようだと、社員や使用人達が思う程度だが、翔の立場からすると不安な要素だ。

 

恋人が出来て、人が変わる。

潤のそばにいると、翔は誰よりも従順で可憐だ。

 

それは、Subだと公言するようなものであり、社長としては相応しいものに見えない。

まだまだ偏見の多い古い社会だ。

 

何より、秘書との恋人関係は、どこまでも秘密にしなければならなかった。

 

 

 

 

 

夜遅く、二人は別荘や二人だけの部屋を借りて愛し合う。

毎夜愛し合うことで、翔はSubの特性が色濃く出てしまっていた。

翔が可愛いものの、彼が辛い目に遭わないよう潤は悩んでいた。

 

 

 

「翔……私の言うようにできる?」

 

「うん」

 

「君は、今のままでは仕事にならない。社長としてSubだとバレるのも良くないんだ」

 

「でも……」

 

ほぼ、自分で色々考えることもなくなってしまうのが、Subの短所で長所でもある。

毎日、翔は潤のコマンドを待つのが全ての生活だった。

 

 

 

「命令する。翔。これから言うことは全てコマンドだ。良い子になれる?」

 

「良い子になったら、可愛がって抱いてくれる?」

 

「ああ、可愛がって、たくさん抱くよ」

 

「激しく……ひどく抱いてね?」

 

「ああ、分かってるよ」

 

 

 

愛おしい、別の生き物のような翔を抱きしめると、潤は多幸感に包まれる。

命に変えても守りたいと思いながら、それに反して泣かせたい欲求が渦巻く自分に驚いている。

そんな潤だけが、生き甲斐になってしまった翔。

潤にすれば可愛くて仕方ないが、翔の立場ではこのままという訳にいかない。

 

 

 

潤は、悩んだ末に翔を守る為にも、あるコマンドを使うことを考える。

やはり、暴君の芝居をさせるしかない。

以前なら、Subを隠す為に本人が望んでやっていたが、今は自分の意思で翔は動けない。

 

暴君でありながら、仕事への才覚は、ずば抜けていた翔。

仕事も、潤が付いていなければ、その才能も発揮出来なくなっていた。

 

 

「潤が命令するなら……」

 

Subの翔には、どんなコマンドも潤がする事は、喜びでしかない。

 

コマンドを使って、潤は翔に以前のような暴君の芝居をさせるようになった。

無理をすれば、コマンドで具合が悪くなることもある。

無理な芝居で、愛する潤に皆の前で、暴言を吐くのは翔には大きなストレスだ。

だが、潤のコマンドには、逆らえない。

 

翔の体調が思わしくない日々は続き、薬を処方してもらうようになった。

その果てに、翔は倒れる日も増えていく。

芝居に精一杯の翔に代わって、経営は潤が動かすようにまでなった。

 

二人はお互いがいなければ、1日も、もう暮らせない。

何もかもが、二人でひとつだ。

 

だが、そんな生活も限界を迎えるのは、時間の問題だった。

 

 

続く

 

 

うさぎキラキラ七夕の織姫状態なのです。。。