(BL/MS/潤翔妄想小説)

*Dom/subユニバース・パロ風

 

 

(11)

 

 背中に、横顔に、潤の視線を感じる。

 

彼は本当にDomなのか、翔には確信が無い。

 

なぜなら、あの襲われそうになった日から、どんなDomとも出会わないようにして来たからだ。

 

 

 

潤は、あのDomのようにコマンドを使うことも無い。

 

なのに、無表情で焼けるような視線を、翔へ寄越してくる。

 

翔はSubで、彼はDomだから見つめて来るんだろうか。

 

 

 

翔からすれば、ただ、怖い。

 

あの視線や、潤の姿を見ると縋りつきたい衝動が襲って来る。

 

感じた事のない、震えや感覚にどうして良いか分からなくなる。

 

医師へ相談してみたけれど、担当医師は、笑顔で言う。

 

相性の良いDomに出会えたなら「それが1番の出会いですよ」と。

 

結婚相手を見つけるようなモノだと、気楽に考えたら良いと。

 

 

「結婚なんて……」

 

あの昔会ったDomの男が、いまだに怖い。

 

触れられていなかったのに、ゾッとするようなあの気持ち悪さ。

 

相性が悪かったのか、あの男がそもそも悪いからか。

 

 

 

(潤は、僕をどう思っているんだろう)

 

 

彼の姿を見るのも怖くて、ジッと見つめたことがない。

 

ふと思って、従業員や使用人が写った画像を見てみる。

 

白黒の写真の中に、一人カラーで写っているかのように、彼だけを見つけてしまう。

 

 

 

潤は、美しい人だった。

 

黒曜石のような瞳。

 

美しく弧を描いた唇。

 

きちんと整えられた髪。

 

引き締まってるだろう筋肉を隠しているようなスーツ。

 

ある画像の彼は、上着を脱いで、シャツを捲った腕に筋肉の筋が見える。

 

 

 

この腕で触れられたら、どんな感じがするんだろう。

 

そっと、その画像の腕を指でなぞる。

 

その指を咥えてみた。

 

目を瞑って、彼を思い浮かべる。

 

ズキンと、痛みが走る。

 

思わず噛んでしまっていた。

 

「どうすればいいの……?」

 

どうしようもなく、彼のことが気になって止まらなかった。

 

これが、Subの感覚なのかと、悩む以外できない自分が辛い。

 

 

……知らぬ間に、翔は潤の虜になっていた。

 

 

 

 

 

 

続く

 
ラブラブ恋の矢ニコニコ