(BL/お山SO/妄想小説)
櫻井翔は、困っていた。
血の繋がらない弟の智が、恋人になったのだが。
その事は、大変幸せで、素晴らしいけど。
ただ、反面それだけで、色々大変なのだ。
智は、仲良しのニノに翔の話ばかりするようだから。
そして、嬉しそうに、『いろんな』話をするから。
今日も翔が帰宅すると、ニノが赤い顔で挨拶して、急いで帰ってしまった。
「なんの話をしたの?」
「翔ちゃんが、すげーえっち上手いって、自慢した」
「智くん……」
翔は、脱力したまま天を仰ぐ。
「なんで、あの子がいつも、俺の顔を見て赤くなるのか、分かったよ……」
「え? そうかな? ニノ、すぐ赤くなるんだよね」
可愛いでしょー? って、自慢げな智は、翔の気持ちは、わからない。
そうね、可愛いけど。
智くんは、もっと可愛いけど。
困るんだなー。
「智くん、話がある」
「え? プロポーズっ? ♡」
「違いますっ」
「え、じゃあ何? えっちする? ♡」
わーいと無邪気に、翔に抱きついてくる。
智がチューしようとするのを、なんとか抑えて、翔は話し出す。
「あのね、これからは……秘密の恋人だからね?」
「へ? なんで?」
「智くんが、大学卒業するまで、秘密なの」
「なんで? ……俺と付き合ってるのは、恥ずかしいの?」
「違う違う、でも、えっちの話を人にしないで? 俺、それは恥ずかしいから」
「そうなんだ。 ……分かった。でも大学行かないもん。秘密はやだよ」
「どうして?」
「翔ちゃん、モテるもん。女がいっぱい狙ってくるもん」
「ははは……モテないってば」
恨みがましく翔を見つめる智を、翔が微笑んで抱きしめる。
「智くんだって、モテるでしょ?」
「大丈夫っ! 男と付き合ってるって言ったら、すぐ諦めてくれるから」
「へっ?」
「先生にも進路指導ん時に、言った。大学行かない。就職して翔ちゃんと結婚するって」
「ええええっ!」
色々と話すのは、遅過ぎたようだった。
「ねえ、翔ちゃんが好きじゃダメなの?」
「いや……そうじゃなくて……」
「翔ちゃん、俺が好き?」
「好きだよ」
「じゃあ、良いじゃん」
そう言って、智くんからキスしてくれる。
何度か、チュッチュッってすると、止まらなくなってしまう。
結局、愛し愛されて。
その日ちゃんと意味がある話は、『翔ちゃんが好き』それだけだった。
『翔ちゃんが好き』おしまい