(BL/お山SO/妄想小説)

 

 

side 潤

 

 

「翔さん、智は元気?」

 

「おはよう潤、元気だよ、どうして?」

 

「いや、恋人になったって聞いたのに、翔さん、あんまり変わんない感じだからさ」

 

「そうだなー変わんないかも」

 

「そうなの?でも、(小声)……することしてるんでしょ?」

 

「してない。(キッパリ)成績が上がるまでお預けを言い渡してるから」

 

俺は、思わず言葉に詰まってしまう。

 

 

 

……智、おまえには同情しかないぞ。(可哀想すぎる)

 

 

 

「可哀想じゃない?健康な高校生男子が」

 

「……まだ、ちょっと迷ってるんだよね」

 

翔さんが、ちょっと悲しそうに言う。

 

「このまま、俺が一緒にいていいのかさ」

 

「……どうしてさ?」

 

「智君、実の家族とも縁がなくてさ。このまま俺といたら、智君は、結婚できない。自分の家族を一生持てなくなる」

 

……真面目で、優しいんだから。

 

でも、分かってないんだろうから、俺が言うよ。

 

「智が聞いたら、怒ると思うよ。それこそ、殴られるんじゃない?」

 

「え?殴られんの?」

 

相変わらず、翔さんは、優しくて鈍いから。

 

……がんばれ、智。

 

陰ながら、援護してやるぞ。

 

まあ、気が向いた時に、ちょっとだけね。

 

俺は俺で、忙しいからな♡。(俺って、確か智に嫌われてるしな♪)

 

 

 

********

 

 

side 翔

 

 

色んな人の人生がある。

 

皆、いろいろ有って。

 

智君の実の親も、有ったんだろう。

 

そして、智君は俺の弟として、家にやって来た。

 

天使みたいな10歳下の弟は可愛くて。

 

両親も俺も、溺愛して育てた。

 

 

 

でも、家族の仲が良すぎるせいか、なかなか智君は、親友ができなかった。

 

人気はあると、担任の先生も言ってるみたいなのに。

 

誰かと特別に仲良くなる事がない。

 

 

 

無意識の自己防衛かもしれないと、母が言ってた。

 

覚えてない記憶の中の。

 

何か辛い思い出が、そうさせてしまう。

 

よほど、辛かったに違いないから、もっと大事にしてあげたいと、母が言ってた。

 

 

 

この世の幸せの多くは、人との関係が作り上げるものだから。

 

俺や親だけでは、一生幸せにするのは、無理だから。

 

 

 

だから、迷ってしまう。

 

智君は、俺だけが独占したら、もう人生は広がらない。

 

幸せは、難しい。

 

どうすれば、良い人生にしてあげられるのか。

 

このままで良いのか。

 

仏壇に向かって呟く毎日だ。

 

 

 

 「母さん……どうすれば良いと思う?」

 

 

続く

 

 

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