(BL/お山SO/妄想小説)
side 潤
「翔さん、智は元気?」
「おはよう潤、元気だよ、どうして?」
「いや、恋人になったって聞いたのに、翔さん、あんまり変わんない感じだからさ」
「そうだなー変わんないかも」
「そうなの?でも、(小声)……することしてるんでしょ?」
「してない。(キッパリ)成績が上がるまでお預けを言い渡してるから」
俺は、思わず言葉に詰まってしまう。
……智、おまえには同情しかないぞ。(可哀想すぎる)
「可哀想じゃない?健康な高校生男子が」
「……まだ、ちょっと迷ってるんだよね」
翔さんが、ちょっと悲しそうに言う。
「このまま、俺が一緒にいていいのかさ」
「……どうしてさ?」
「智君、実の家族とも縁がなくてさ。このまま俺といたら、智君は、結婚できない。自分の家族を一生持てなくなる」
……真面目で、優しいんだから。
でも、分かってないんだろうから、俺が言うよ。
「智が聞いたら、怒ると思うよ。それこそ、殴られるんじゃない?」
「え?殴られんの?」
相変わらず、翔さんは、優しくて鈍いから。
……がんばれ、智。
陰ながら、援護してやるぞ。
まあ、気が向いた時に、ちょっとだけね。
俺は俺で、忙しいからな♡。(俺って、確か智に嫌われてるしな♪)
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side 翔
色んな人の人生がある。
皆、いろいろ有って。
智君の実の親も、有ったんだろう。
そして、智君は俺の弟として、家にやって来た。
天使みたいな10歳下の弟は可愛くて。
両親も俺も、溺愛して育てた。
でも、家族の仲が良すぎるせいか、なかなか智君は、親友ができなかった。
人気はあると、担任の先生も言ってるみたいなのに。
誰かと特別に仲良くなる事がない。
無意識の自己防衛かもしれないと、母が言ってた。
覚えてない記憶の中の。
何か辛い思い出が、そうさせてしまう。
よほど、辛かったに違いないから、もっと大事にしてあげたいと、母が言ってた。
この世の幸せの多くは、人との関係が作り上げるものだから。
俺や親だけでは、一生幸せにするのは、無理だから。
だから、迷ってしまう。
智君は、俺だけが独占したら、もう人生は広がらない。
幸せは、難しい。
どうすれば、良い人生にしてあげられるのか。
このままで良いのか。
仏壇に向かって呟く毎日だ。
「母さん……どうすれば良いと思う?」
続く