(BL/お山OS/妄想小説)

 

 

 

side 智

 

 

退屈な授業をなんとか乗り越えて、帰りはニノを連れて帰るのが日課だ。

 

一人で、勉強なんてやってられないけど、ニノと一緒ならまだ我慢できた。

 

(ニノは、毎日嫌だよーって言うけど、許さない。道連れだ)

 

それも、成績が上がるまで、翔ちゃんと◯ッチは、お預けなんだよな。

 

「まともに勉強もしないなら、別れる」

 

翔ちゃんが、言うから仕方ない。

 

同じ家で暮らす翔ちゃんは、義理のお兄ちゃんから、恋人になってくれたんだけど。

 

今ひとつ、恋人っぽくない。

 

チューは、ねだるとしてくれるから、顔を見れば、ねだるけど。

 

(機嫌が悪いと、追っ払われるし。俺がしつこいと、ぶっ飛ばされるんだもん)

 

それ以上は、滅多にしてくれない。

 

あれかなあ……時々テレビで聞く……セ……クスレス? とかいうのなの?  ←(違う)

 

ええー? それってどうしたら、いいわけ?

 

 

 

俺は、翔ちゃんにもっと、仲良くして欲しいんだ。

 

他の恋人みたいに、ベタベタして欲しいだけ。

 

要するに、もっともっと愛して欲しいんだよー。

 

翔ちゃんのケチっ!(怒)

 

 

「智さん、心の声がダダ漏れだよー」

 

「うるさいっ。お前も恋人作ったらっわかるんだよっ」

 

「えー? 八つ当たりじゃんっ」

 

今日も、ニノと騒ぎながら勉強して、日が暮れて。

 

あとは、ひたすら翔ちゃんを待つのが日課。

 

 

……バレンタインのプレゼント、何にしたら良いんだろう。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

side 翔

 

 

「翔ちゃん、一緒に寝ていい?」

 

「ダメ」

 

「ええっ? なんも、しないからさあ」(おまえか)

 

 

 

智君が、枕を持って毎晩、俺の部屋にやって来る。

 

大きくなっただけで、ちっちゃい頃と変わらない。

 

ただ、もっと綺麗になって、最近は色気も出てきて困る。

 

それなのに、本人は自覚が無いようで。

 

 

 

「じゃ、翔ちゃんのベッドの隣に布団敷いて寝る」

 

まだ、いいよと言う前に、布団を敷き始めてる。

 

一生懸命な姿は可愛くて、困るんだよ。

 

 

 

「翔ちゃん、いつでも布団に入って来ていいからね? ♡♡」

 

「早く寝なさい」

 

「ちぇッ……はーい」

 

 

 

不満そうだけど、まだ子供の智君は、すぐ寝息が聞こえてくる。

 

無邪気な寝顔が可愛くて、そっと額にキスをする。

 

智君は、分かってない。

 

我慢してるのは、俺の方。

 

どれだけ、君を想ってるかなんて、分かってないんだから。

 

 

 

続く

 

自分の可愛さに気が付いていない智君。恋の矢