*嵐妄想
*BL小説
*お山妄想
*お話の全てはフィクションです。
(6)
俺は、今は広告のデザインをやってる先輩の事務所で働いている。
他の事務所にいたんだけど、喧嘩して追い出されたんだ。
広告の絵やデザインの仕事をしてたんだけど、納得できないことを言うクライアントが多くて。
どっかの有名デザイナーと似たデザイン作れとか。
仕上がって全て作り終わった頃、キャンセルして来るとか。
理不尽に思うおかしな修正とか。
よくケンカになって、営業担当に怒られもした。
――俺は向いてない。
この世界の仕事は、やめようと思ってたら、先輩が繋ぎで良いから、おいでと声をかけてくれた。
今は、事務所で電話番したり、営業事務みたいなバイトだ。
簡単に見えたけど、難しい。
電話の連絡や納期などの打ち合わせ。
資料やデザインの色の確認。
(色が、パソコンやモニターによってかなり違いがあるんだ。印刷は、もっと違う)
いくらでも、雑用がある。
正確に言うと、雑用はない。全部重要な確認の仕事だ。
最後のチェックなんか、とんでもない。
やっと最近、営業マンや事務の人の凄さを知ったんだ。
気が短くて、頑固だった自分が、子供だったと思うようにもなった。
そんな頃、仲良くなったミン。
彼は、外国人だし、もっと理不尽な目にあって来たらしい。
「ケンカにならなかったの?」
「ケンカダメ。話し合う。何度も。でも日本語難しい。だから最後は、よく諦める」
「悔しいだろ?」
「悔しい。だから、もっと勉強する。必ず良くなる」
俺より年下なのに、頑張ってる姿は、かっこいい。
俺も、初心からだな。そう思う。
それにとんでもない町は、色々刺激的で、デザインのアイデアに役に立ってるみたい。
色んな角度のデザインが浮かぶ。
近所の子供が、俺の絵を勝手に破いて、パズルにしたこともある。
驚いたけど、千切って繋げた絵が、元の絵よりも素敵なデザインに見えたんだ。
「すげえなあ。面白い」
だから、たまに絵を描くと子供らや外国人の友人に見せてみる。
思いがけないアイデアも貰えるし、提案も凄い。
「漢字をデザインしてよ。この字なら、この絵にピッタリ」
字が、外国人には絵に見えるらしい。
高とか、家とか。
字が可愛いって。
品って字は、積み木や口が歌ってるって。
「ポスター描いてみて」
そう言われて描いたポスター。
桜が浮かんだ。
でも、秋の催しのポスターなんだ。
桜と紅葉を一緒に描いた。
同じ場所で、一緒に見られる場所があるらしいって、聞いたから。
「すごく良いけど」
褒めて貰ったけど、採用されなかった。
仕方ない。
秋の桜は、この催しには関係無いから。
その絵を見ながら、あの櫻井翔さんを想った。
あの人が、春の桜なら。
俺は秋に生まれたから、秋の紅葉かな。
違う世界の人。
一緒に、並べたかったんだ。
一緒に、並びたいって。
……そう思っただけ。
私も見てみたいです。。。