嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

side 翔

 

人気のある智と暮らし始めると、俺までマスコミに追いかけられる。

 

だけど海外事務所へ所属する智には、力のある弁護士等が付いていて、LGBT等の差別問題を盾に守って貰えるようになった。

 

きちんと智は、恋人が男性だと公言して……それには俺が1番驚いた。

 

恋人が元教師だということは、報道されなかったのが救いだ。

 

俺には、今も教師としての罪悪感があったから。

 

 

 

 

「どうして、わざわざ公言したの?」

 

二人で晩御飯の用意をしながら、なんでも無いような顔で聞いてみた。(内心はドキドキだったけど)

 

不器用な俺と違って、器用な智が作ってくれる魚料理は、レストラン並みだ。

 

名前も分かんない洋風になった鯛を、皿へ盛り付けていた智が黙って表情だけで笑う。

 

そのまま、黙って次の皿を出そうとするから。

 

「ねえ、聞いてるの?」

 

智の顔を覗き込んで言ったら、キスされる。

 

映画に出てくる外国のイケメンみたいな仕草で、カッコ良過ぎた。

 

「……////」

 

面食らって、真っ赤になってるはずの俺。

 

そんな俺を見て、嬉しそうな智は、今度は声を出して笑った。

 

「翔って、ずっと可愛いよね」

 

「年上を揶揄わないでよ……///」

 

必死な俺は、これくらいしか言い返せない。

 

 

「公言したの、ダメだった?」

 

「だ、ダメじゃ無いけど……智が、色々言われないか心配……」

 

「何も言われないよ? こっちは売れてるもんが勝ちだし。売れなくなったら、話題にもならないし大丈夫」

 

「そうなの?」

 

「そう。でも、もう顔は出さない。クリエーターの仕事は元々裏方だからね」

 

そう言って、ご飯食べようよって言葉に頷いた。

 

 

 

 

side 智

 

 

 

翔って、教師だった頃と変わらない。

 

今では、年下みたいに思う時がある。

 

見た目もそうだけど、あまり世間を知らないから純粋なままで。

 

あまり世の中の汚い部分を見てないんだろうな。

 

 

 

一瞬だけ翔の写真が、出回った事があった。

 

俺は自慢だったくらいだけど、仕事のスタッフが言う。

 

「危ないから、なんとかしなよ」って。

 

有名人の恋人を狙うタチの悪い人間が、多いからって。

 

売名行為もあるからって。

 

 

すぐ騙される翔は、確かに危ないかも。

 

それで、急いで公言して翔の報道はできないように、弁護士等にして貰った。

 

それで良かったと思う。

 

これからは、翔を守るのは俺だから。

 

 

「智の料理って、本当に美味いよねえ」

 

ニコニコして食べてくれる顔は、俺だけの翔。

 

翔は俺の心配ばっかりするから、言っておかないと。

 

俺が翔だけなように、翔も俺だけ。

 

 

『好きなら、ちゃんとしなよ?』

 

どこかから、カズヤの声がする。

 

分かってるよって、心の中で返事。

 

 

 

「翔、公言した理由、知りたい?」

 

「え? う、うん」

 

翔は、困ったような顔で頷く。

 

 

 

 

「翔は俺のだからって、公言したかったの」

 

 

 

一瞬固まった翔。

 

「へ?」

 

変な顔で、変な声の翔。

 

そんな顔も可愛いけど。

 

 

「公言したから、もう翔は俺だけのだからね」

 

 

ホスト時代に培った演技力で、1番効くイケメン顔で言ったら、翔が真っ赤になった。

 

愛してる人に愛されてるって、幸せだって思う瞬間だ。

 

 

 

『自分でイケメンなんて、キモい』

 

カズヤが、そう言いそうだった。

 

 

 

 

続く