嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

side 相葉

 

 

高校時代の先輩で、優しい友人の智。

あの頃は、まだ子供だったから、智の孤独も知らなくて。

先生と智が付き合い出したのを聞いて驚いた。

 

二人は真面目だし、純粋に愛し合っていただけ。

 

でも、教師と生徒と同性同士という恋は、皆には許してもらえなかった。

結局、先生が消えることで終わったと思っていた。

智は学校を辞めてしまい、そのままいろんなバイトを始めて。

綺麗な顔だったから、ホストにスカウトされて、そのうちに連絡が無くなった。

 

どうなったのか、どうしてるか気になったけれど、携帯電話も、住む家も変わってしまったらしい。

俺にできることは、何も無かった。

いつか、連絡が来ればいいのにって思っていた。

 

数年経って。不思議な少年に出会って、智の連絡先を教えてもらった。

この少年は、智と兄弟のように暮らしていたらしい。

 

影の薄い、垢抜けた細身の綺麗な男の子だった。

智と翔先生を大切にしてくれていることだけが、俺の知っていること。

今も正体はわからない。

智も、詳しくは知らないようだった。

 

でも再会した智は先生と一緒で、良かったと思っていたのに。

 

 

 

 

 

「相葉君」

 

「あれ? どうしたの?」

 

帰宅する俺を待っていたかのような智が、校門に立っていた。

 

「どうしたの? 先生は?」

 

「今日は一人だよ」

 

「そうなんだ、飯でも行く?」

 

 

二人で夕飯を食べに行ったんだ。

 

 

――――

 

 

ずっと高校生の時は一緒だったのに、夕飯は初めて一緒に食べる。

 

「俺と夕飯てさ、初めてじゃない?」

 

「ああ、そうかも……」

 

たまに見せる寂しそうな優しい笑顔は、昔と一緒。

 

複雑な家だった智は、一人で暮らしていたらしい。

 

「友達に迷惑かけたくないから」

 

そう言って、俺は家に行かせて貰えなかった。(迷惑って何?)

 

だから、翔先生が仲良くなってくれて、俺も嬉しかったんだ。

 

 

他愛もない思い出話が、いっぱい。

 

「智って、本当に翔先生を追い回してたよね」

 

「迷惑な生徒だったなあ」

 

 

男の子が男の教師を好きって、今だって珍しい気がするけど。

 

智と翔先生は、尊い感じがしたんだ。

 

変だとか、やらしい感じは、全然しなかった。

 

今も、そう思う。

 

 

「相葉君、頼みたいことがある」

 

「何?」

 

「翔をたまに見てあげてくれない?」

 

「え? 智は?」

 

「俺、翔から離れる」

 

「どうして?!」

 

「俺のホスト時代の揉め事で、翔は襲われたんだ。俺がこのまま、そばにいたら危ない」

 

 

俺とは目を合わせないで、つぶやくように。

俺は、その表情で智の苦しさがわかった。

 

「いいけど……。帰ってくるんだろ? 翔先生、今も智だけって感じだったぞ?」

 

「……わかんない。どうなるか」

 

「……」

 

「頼む、たまでいいんだ。翔に連絡してやってよ。寂しくないように」

 

「あのさ。翔先生は、誰がいても一緒だと思う。智がいなけりゃ」

 

「……そのうち、忘れるよ」

 

「自分だって、忘れなかったんだろ?」

 

「……そうだな」

 

本当に、わかってんの?

怒りたかったけど、可哀想で、怒れない。

智が1番、分かってることだもんな。

 

 

智に会ったのは、その日だけ。

今は、連絡もない。

 

翔先生からも、智が出て行ったとは、今も聞いてない。

ただ、普通のメッセージを送るだけ。

先生も普通に返信をくれる。

 

俺も教師になったから、俺のメッセは、教師時代を思い出して。

それはつまり、智を思い出すかもしれないけど。

 

俺は、二人がまたやり直せるって思ってる。

その日まで、翔先生を遠くから見守る。

 

 

 

 

そんな日が過ぎて。

 

突然、智の姿を見つけたんだ。

 

「ええ? 何これっ?!」

 

 

 

それは、ネットニュースとその画像だった。

 

『元ホスト。華麗な転身。女優〇〇と結婚か?』

 

 

智が? 女優と? ええええっ?! どうなってんの?

 

翔先生の顔が浮かんだ。

 

「先生、どうしてるかな……」

 

 

 

 

続く