嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

 

 

 

 

side 智

 

「いつでも、連絡してくれたら。なんでも出来ることするから。困ったら連絡してよ?」

 

翔が、涙ぐみながら言ってくれた。

 

「ありがとう、翔」

 

もう、たくさんしてくれたよ。

翔が無事に、生きていてくれるだけで良いんだ。

できたら、幸せに生きていって欲しい。

俺がしてあげられることって、今は何も無いから。

 

 

 

……あの日。

 

カズヤが刺された日。

 

 

 

朝方の街、血まみれの翔を見て、血の気が引いた。

翔が死んでしまうって、動揺したんだ。

 

でも、翔じゃないって分かってホッとした。

代わりにカズヤが刺されたことは、すぐには実感が無かった。

 

でも少しずつ、その実感と恐怖が襲ってきた。

 

あんなに兄弟のようだったカズヤを、俺は見捨てた気がした。

翔の無事を、カズヤの命と引き換えでも優先してしまった。

 

俺は最悪だ。

 

こんな俺を、あのカズヤを守る男は見抜いていたんだろう。

だから、離れろと言われたんだ。

 

いざという時、俺はカズヤを守れないだろうと。

あの男なら、きっとカズヤを命がけで守れるんだ。

 

翔を愛してる。

でも今の俺では、守れない。

 

あの男のようには、まだなれない。

翔を守れる男になりたいと思ったんだ。

 

カズヤのバックは、まだ揉めているという噂だった。

カズヤの不在の意味はわからない。

でも、カズヤと関わったから、翔は襲われたんだ。

俺といれば、また危なくなるかもしれない。

 

俺も、カズヤも、あの街で敵は多かった。

 

 

……翔。

 

翔だけは、守りたいんだ。

 

 

 

 

side 翔

 

 

相葉君からたまにメッセージが飛んで来る。

 

 

◉相葉:先生、元気?

 

◉翔:元気だよ、相葉君は?

 

◉相葉:今、試験の用意で大変です〜頑張る〜(^^)

 

◉翔:がんばってね〜!

 

 

相葉君のくれるメッセージが、元気をくれる。

今の俺には、智のことを唯一話せる相手でもある。

智との暮らしは、夢では無かったんだと思えた。

智が去ってしまって、笑うことも少なくなった。

でも相葉君の普通のメッセには、つい笑顔になる。

 

……懐かしいなあ。

学校の試験かあ。

教師時代、色々寝ないで作ってたなあ。

そうだ、一生懸命作ったプリントを智が踏んじゃって、俺って怒っちゃったっけ。

 

綺麗な顔に、明るい声の優しい男子生徒。

会えば、いつも言ってくれた。

 

『先生、結婚して!』

 

男の教師を揶揄ってと思って、腹を立ててたな。

……怒ったのは、きっと気になってたから。

 

女子生徒や、同僚の女性たちからも、色々言われてたけど、腹が立ったのは智だけ。

多分……もう惹かれていたから、怖かったんだ。

本気で好きになってしまったらって、自分が怖かった。

 

もっと早く、色々分かっていたら。

智が卒業するまで、我慢していたらって、たくさん後悔もした。

二人でいられる未来も、あったはずなのにって。

 

でも、今は思う。

仕方ないんだ、もう起きてしまったことは変わらない。

できることを、ただやっていこう。

智が幸せになるよう、また祈る日々が始まったんだと。

 

それだけが、できること。

 

これが運命だったと。

 

 

続く