嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

 

 

 

side 智

 

 

数年ぶりの母校は、あまり変わっていなかった。

 

日曜日の校庭は、部活の生徒の声が遠くから聞こえる。

校舎も古くなってるんだろうけど、気が付かない程度。

相葉君と話しながら、ウロウロする。

 

相葉君は数年振りに会ったのに、昨日会ったばかりのような笑顔。

 

「久しぶり〜。めっちゃイケメンになったなあ。先生は変わんない。美人さんのままだねえ」

 

「相葉君が先生なんて、不思議だなあ」

 

「やっぱり? 生徒にも言われるよ、見えないって。先生や智がいなくなった年の卒業記念樹とかあるんだ」

 

「へえ〜。初めてじゃない? 俺のいる間は、そんなの無かった」

 

「そうそう。50年?とかの周年記念らしい。よく覚えてないけど」

 

明るく笑う相葉君は、太陽みたい。

高校生の時の姿が、重なった。

いつも、俺みたいなのにも優しかった。

 

 

隣を歩く翔は、昔と変わらず綺麗で可愛いまんま。

出会った時の可愛い先生だ。

 

……恋人だったなんて、嘘みたい。

都合のいい夢だったのかも。最近、そんなことを思ってる。

 

「智、どうかした?」

 

黙って歩いてたせいか、翔が顔を覗き込んできた。

 

「ああ、大丈夫……なんでもない」

 

相葉君も、大人っぽくなったけど変わらない、爽やかなまま。

よく、二人で翔を覗きに行ったっけ。

本当に、先生が大好きだった。

 

「ああ。あれだよ! あそこで男の子と話したんだ」

 

記念樹らしい若い木と記念碑にポスト。

 

「いつ会ったの? 最近だよね?」

 

翔が聞いてくれる、俺は言葉が出て来ない。

 

「いや……まだ寒い頃で。半年は経ってるかな?」

 

「そ、そうか……」

 

がっかりした風に、翔が俺の顔を見る。

カズヤが消えたのは、春だった。

ごめんって思ってるんだろうな、翔のせいじゃないのに。

 

「でも、それならどうして今頃?」

 

翔の言葉に、相葉君は、ちょっと困った顔になった。

 

「すぐかけるのは、やっぱり躊躇っちゃって。でも、久しぶりにこのポストへ手紙が入ってたんだ」

 

「手紙?」

 

はいって、その手紙を渡してくれた。

 

「生徒さんのなんじゃない? 良いの?」

 

「生徒じゃない気がする。あの男の子の気がしたんだ。だから電話した」

 

「智……どうする?」

 

翔と相葉君が俺を見つめる。

俺は受け取った手紙を、黙って開いた。

 

 

遠くの生徒の声も聞こえなくなって。

手紙を開くカサカサという音だけが響く。

 

 

 

 

 

『夢は叶いましたか?』

 

手紙には、そう書いてあった。

 

 

 

 

 

続く