嵐BL妄想(お山OS)
登場人物等全てフィクションです
side 翔
時間が過ぎてゆく。
季節は、もう夏だった。
智は落ち着いたけど、俺が家でゆっくりして欲しいって頼んで休ませていた。
俺は仕事へ復帰して、二人で静かな日々。
ただ暮らす。
恋人関係には、戻っていない。
お互い、そんな気持ちになれなかった。
まるで教師と生徒の時間を、やり直しているよう。
あれから、カズヤ君から連絡は無い。
もう2度と会えないのかも知れない。
たとえ、どこかで元気だとしても。
そう思い始めていた。
――――――
「誰の電話かな?」
「え?」
智の携帯電話へ、何度も着信があるが知らない番号らしい。
「それって、カズヤ君かも知れない。かけてみたら?」
「うん」
二人並んで、智が電話をかけた。
「もしもし? あの電話をいただいたのですが……え?」
「誰? どうしたの?」
智が驚いた顔で、俺に言う。
「相葉君だ……」
高校時代、智の唯一の友人の名前だった。
どうして彼が?
もう連絡もしていないらしいから、連絡先はお互い知らないはずだった。
「相葉君? どうしてこの番号知ってるの?」
突然かかってきた電話。
相葉君が、この番号を誰かに聞いたらしい。
細身で若い男の子。
目つきが鋭くて、愛想の無い綺麗な顔。
年齢には合わない高そうな服に身を包んでいる。
男の子のボディガードと高級車が、そばまで来ていた。
その男の子が、相葉君と話したらしい。
「翔と智を知ってる?」
その子は、そう言ったそうだ。
相葉君は、母校の教師になっていた。
放課後の学校へ、彼は現れたそうだ。
「名前は? 名前は聞いたの?」
(相葉)『名前は聞いてない。教えてくれなかったんだ』
「どうして、電話してきたの?」
(相葉)『頼まれた。二人がやり直すキッカケになってやってって』
「その子に?」
(相葉)『うん、でも俺もずっと気になってたし。ねえ、学校来ない?』
「学校?」
学校で、会うことになったんだ。
……カズヤ君の行方はわかるんだろうか。
どうして学校なんか。
その時、店での会話を思い出した。
「その学校に行ってみたいな」
カズヤ君が言ってた事を思い出す。
確か、学校名と簡単な地名だけ教えた記憶があった。
二人になっても、俺たちはやり直せないまま。
こんな俺たちの為に?
どうして?
色んな疑問を抱えたまま、相葉君へ会いに行ったんだ。