嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

 

 

side 翔

 

とんでも無いことをしようとしてる。

 

そう思ったけれど、断るなんて出来ない。

 

どんな覚悟で言ってくれたのか、伝わってくるから。

 

本当に最後と言ってるんだ。

 

ひとりぼっちで、この部屋でまた。

 

一人でいるところを想像したら、泣きたくなった。

 

 

 

女性と付き合ったことは、それなりにあるけど。

 

男性で、自分の生徒とキス。

 

正気では、出来ない。

 

目を瞑って待つしか無かった。

 

 

 

そっと、両手で顔を持って口付けられた。

 

唇は柔らかくて、温かかった。

 

 

 

優しく触れた唇が、離れていくのが寂しくて。

 

思わず自分からもキスしていた。

 

 

 

キスして、初めて感じた。

 

自分は性欲が無い方だと思っていた。

 

無いわけじゃない、その程度の欲が、このキスだけで感じるなんて。

 

体が熱くなって、わかった。

 

自分も、好きになっていた事に。

 

 

 

 

「ごめん……俺も好きだよ。今、はっきり分かった」

 

「ど、同情してるんでしょ?」

 

「本当言うと、分かんない。でも好き……」

 

 

嘘じゃない。

 

でなきゃ、キス1つでこんなに熱くならない。

 

きっと、熱っぽくなってる自分の目。

 

誘いたいと言う欲求を、初めて感じる。

 

 

 

目があったら、そのまま抱きしめられて、何度もキスしてくれた。

 

何だか止まれなくて、お互いの身体中に唇を。

 

気持ち良くって、興奮が止まらない。

 

 

 

「先生、こんなになってる、嬉しい」

 

嬉しそうに、そう言って触られて。

 

その気持ち良さで、クラクラした。

 

舌を絡めながら、体も絡めて。

 

 

 

「先生……好き」

 

そう言われただけで、涙が出そう。

 

子供だと思っていた手は、男らしくて。

 

男らしい手に、また感じて。

 

ただただ、気持ち良さに二人で身を任せてしまう。

 

 

渡ってはいけない橋を二人、向こう岸へ。

 

 

罪の意識よりも、幸せそうな大野の顔を見た方が、嬉しかった。

 

 

「好かれてるって、思っていい?」

 

「好きだよ、……俺で良いの?」

 

「先生しかいらないっ……先生だけっ」

 

 

……俺も。

 

俺も、きっともう大野しか無理だと思う。

 

こんなに愛されてるって、生まれて初めて思う。

 

身体中が、大野の手を待ってるのが分かる。

 

触られた場所は、もう違う感覚。

 

そんな経験も初めて。

 

 

「先生、もう離さない。俺だけの先生になって」

 

「……離さないで」

 

そう言ったら、なぜか涙が溢れた。

 

運命の人っているんだな。

 

きっと、それがこの子なんだ。

 

素直にそう思った。

 

 

 

静かな静かな部屋。

 

聞こえるのは二人の息遣いと触れる音。

 

窓の外の音が、遠くて。

 

この世に二人だけになったみたい。

 

 

 

 

これが最後の夜なら、幸せに死ねるんだろうか。

 

そう思ったら、大野が言った。

 

「俺、もう死んでも良いかも。幸せ過ぎるもん」

 

その言葉に、ああ、自分が幸せにしてあげようって思う。

 

まだ、この世の何も知らない彼。

 

自分が、ちゃんと愛してあげたい。

 

 

 

 

 

そして、秘密の恋が始まったんだ……。