嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

side  大野智

 

 翔がいなくなってすぐ、俺は学校を辞めた。

 

色んなことに、意味を感じなくて。

 

自立したい気持ちが強かったから。

 

翔と一緒にいたい、理由はそれが全て。

 

 

 

なかなか、大変だったけど。

 

翔の実家を探して見に行った。

 

 

 

 

「大きな家だなあ……」

 

翔の家って、いわゆる金持ち?

 

高級感のある町の一軒家。周りもすごい家ばかり。

 

豪邸を前に、俺は怯んでしまった。

 

すれ違う奥さんや子供らも、なんか違う。

 

こんな世界で育った翔が、どうして俺と。

 

色々考えちゃった。

 

翔の家から、翔に似たオバさんが出てきた。

 

(翔の母ちゃんかな?)

 

続いてオジさんも出てきて、おばさんと仲良くお話ししてる。

 

「幸せな家なんだな……」

 

母ちゃんと俺とは違う世界だ。

 

翔と生きていきたい。

 

 

 

でも、今の俺じゃダメなのかも。

 

高校中退で、親もいない。

 

何もない。

 

どうしよう。

 

ここから、翔を連れて出たら。

 

母ちゃんみたいに、してしまうかもしれない。

 

母ちゃんは、田舎の金持ちの娘で。

 

今も、世間知らずで純情なままだ。

 

俺を産んだせいで、ひとりぼっちで母親になって生きてきた。

 

(母ちゃん、ごめんな)

 

急に、泣きたくなった。

 

 

 

翔を幸せにするには、どうしたらいいんだろう?

 

このままじゃだめだ。

 

せめて、金を稼がなくちゃ。

 

翔には会えないまま、家に帰った。

 

 

 

 

+++

 

 

 

とりあえず、俺を雇ってくれる場所を探した。

 

「うーん、金っていくら有ればいいんだろう?」

 

分かんないから、翔と暮らす家のために不動産のチラシを見ると。

 

「えっ……1億?」

 

あまり大きくない家が億の値段するんだ。

 

「何年働けば、買えんの?」

 

ダメだ。ボーッとしてたら爺さんになっちゃう。

 

普通じゃ、未成年のバイトで家は買えない。

 

自分の生活費くらいは、稼げるけど。

 

翔と暮らすには、全然足りない。

 

「とにかく、働こう」

 

適当に雇ってくれる場所を2つ3つと見つけた。

 

居酒屋に、ファーストフード店、ホストクラブ。

 

ホストクラブは、居酒屋でバイト始めたらスカウトされた。

 

「顔」が良いって。

 

顔なんて気にした事なかった。

 

母ちゃんて、いつも可愛いとか美人って言われてたっけ。

 

俺もそう思ってるけど、自分の親だからかなって。

 

母ちゃんに感謝だな。俺って母ちゃんにそっくりだし。

 

ただ、酒を飲むのは好きじゃない。

 

気持ち悪くなるし。

 

そう言ったら、同じ店のバーテンダーの男の子が、こっそり酒を烏龍茶に変えてくれるようになった。

 

ちょっとだけ、上澄みみたいにウィスキーが入ってる。

 

香りはお酒で、中身はほぼ烏龍茶か麦茶。

 

客の金で飲むから、代金は酒と同じ。

 

いいの? って聞いたら、良いらしい。

 

ここのお客は、金を使いたがってるからって。

 

売れっ子は、余程じゃないと店の外でデートするなって言われた。(結構人気が出たんだ)

 

外でデートすると、深いりするし、店へ客は来なくなる。

 

店にしたら、マイナスしかない。

 

客に色々買わせたいとか、金を要求してる男も多い。(体も繋ぐから客は恋人だと思うだろうし)

 

結局、客やホストも来なくなる。(客は破産するとか多いし、ホストは困ると別の店へ流れていく)

 

プライベート厳守が1番。(この店のルールで他の店はもっと雑みたい)

 

色んな世界があるんだなあ。

 

それに、ホストは意外とゲイがいる。(女に飽きるのかな)

 

たまに、声をかけられたけど無理。

 

翔以外は、男も、女もいらないから。

 

忙しい日々は、あっという間に流れていった。