嵐BL妄想(お山OS)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

 

 

side 大野智

 

受験だ何だと、3年生が忙しい中、俺は就職組だから楽だと思ったのに。

 

「何か資格をとった方が良い」

 

とか言われるし。

 

だから勉強嫌いだってば。

 

「智、何かしたい事ないの?」

 

「ない。翔と一緒にいられたら良い」

 

「でも、それじゃ……」

 

そんな話は嫌い。

 

だから、無理やりキスして唇を塞ぐ。

 

愛し合ってると、安心する。

 

いっぱい感じて、俺を感じて欲しい。

 

そうしたら、俺から離れないでしょう?

 

 

その時、母ちゃんが浮かんだ。

 

母ちゃんは純粋で、優しい裏のない人間だ。

 

そんな良い子なのに。

 

母ちゃんは、どうして俺の父ちゃんに捨てられたんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

疲れて抱き合ったまま、動けないでいる。

 

目の下に影ができた翔は、色っぽくて自分のものだって安心する。

 

 

 

「智……俺、智には幸せになって欲しいんだ」

 

「翔と一緒にいられたら、もう幸せだもん」

 

「俺だけじゃ……」

 

 

 

もう、いらない。

 

欲張りたくない。

 

何もなかったから、欲しいものも無い。

 

欲張ったら、翔を失いそうで怖い。

 

翔が心配そうに、俺を抱きしめる。

 

愛してるよって、言ってくれる。

 

これ以外、大切なものって無い。

 

怖いのは、予感だったのかもしれない。

 

 

 

+++

 

 

「た、大変だって!」

 

「ん?」

 

相葉くんが、珍しく俺の教室へ飛び込んで来た。

 

俺と先生の事は、彼だけが知っている。

 

「翔先生! 大変だぞ!」

 

「翔?」

 

「俺、さっき職員室行ったら、翔先生が出て行くとこだった!」

 

「出て行く?」

 

「やめたんだっ! 学校! ねえっバレたの?」

 

「そんな……!」

 

走って職員室へ行った。

 

 

 

「大野?」

 

「せ、先生辞めたの?」

 

知っている先生に、必死で聞いた。

 

「……こちらで、話しましょう」

 

 

そこから、校長も他の先生も集まって尋問みたいになった。

 

翔は、何があっても自分とのことは、話すなって俺に約束させていた。

 

どこから、広まったのか。

 

俺と翔のことが噂になっていて。

 

翔は、なんて言ったのか分からないけど。

 

俺も必死に否定した。

 

「勘違いです! 先生は悪くありません!」

 

 

噂を聞いた父兄たちからの抗議が殺到して、責任をとって翔は辞職してしまったそうだ。

 

気を付けようって言われていたのに。

 

俺は独占欲と、冗談のつもりで、何度も外で悪ふざけして絡んでいたから。

 

誰かがきっと見てたんだろう。

 

教師と生徒だけでも、タブーなのに。

 

男性教師と男子生徒は、もっと問題視されたようだった。

 

謹慎を言い渡されても平気だったけど。

 

ただ、怖かった。翔に会わなきゃって。

 

職員室から解放されて、翔の家へ走った。

 

だけど。

 

……翔は、もういなかったんだ。