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(8)  

 

 

心配しながら、智君の手紙を待った。

 

返事は、なかなか届かなかった。

 

そして、9月10日。

 

やっと手紙が来た。

 

『櫻井翔様

 

あなたの教えてくれた通りでした。

大阪は、台風で大変な被害でした。

展示会は中止になり、講演会も中止になりました。

違う展示会をするために、色々走り回っています。

でも、どうしてこの手紙は、未来のあなたに届いてるの?

もっと、あなたの事を教えて下さい。

 

大野智』

 

 

 

「無事だった……良かった」

 

過去の智君の無事が嬉しかった。

 

 

 

『大野智様

 

あなたが、無事で良かったです。

 

俺は、東京の千代田区のKSCという会社に勤めています。

 

あなたと会う前の俺は、多分毎日のように会社から近いデイジーという喫茶店や、東京ドームの中の遊園地の中の店で、同僚と仕事の打ち合わせや食事をしていると思います。

 

できたら、その頃の貴方に会ってみたかった。

 

俺の知り合いに、展示会に詳しい人間がいます。

 

品川駅のそばにある会社の人で、名前は相葉雅紀さんと言います。

 

連絡先を書くので、頼ってはどうでしょうか。

 

東京都港区……XXXX7階 株式会社XXXX 営業部……

 

櫻井翔』

 

 

 

三年前の俺が、もし彼に会っていたら。

 

運命は、変わったんだろうか?

 

なんだか、忘れてた悲しさを思い出して、涙が止まらなくなった。

 

 

 

しばらく泣いて、アトリエを見回した。

 

何かが違っていた。

 

 

 

「こんな絵だっけ……?」

 

彼の遺した描きかけの絵。

 

デッサンに、少しだけ色がのっていた筈。

 

でも、違う色がたくさん増えているような……気がした。

 

 

 

また数日経って、手紙がきた。

 

内容は驚くものだった。

 

 

 

 

『櫻井翔様

 

ずっと待っていますが、あなたの手紙が途絶えて、2年経ちました』

 

 

 

 

 

 

 

ええ?

 

にっ2年? どうして?

 

こっちは数日しか、経ってないよ?

 

 

 

 

 

 

 

『それで、あなたを探しに行きました。

 

時間がかかったけど、 あなたを、やっと見つけました。

 

あなたが言っていた、ドームのそばで仕事に行く所でした。

 

顔がわからないから、時間もかかったけど。

 

相葉君に、貴方の顔を教えて貰いました。

 

(すごく不審がられたけど)

  

 

そして。

 

この2年で、色々な貴方を遠くから見ました』

 

 

 

 

 

 

  

「俺を、見てたの?」

 

そういえば、ポストが壊れたって言ってた。

 

自分で作ったって。

 

彼の声が甦る。

 

 

 

『翔ちゃんから、手紙が来ないかなあって思って作った』

 

あれは、本当に俺のことだったの?

 

 

 

 

 

続く