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(6)

 

 

家に戻って、手紙を読み返す。

 

『こんにちは。お手紙ありがとう。

 でも、俺には恋人がいません。

 宛先を間違えてませんか?

 できれば、名前を教えて欲しかった。

 あなたは、誰?』

 

 大野智』

 

 

 

 

 

この手紙は、どうなってるの?

 

でも、この字は彼の字だ。

 

間違えたりしない。

 

名前も、同じ。

 

ポストに、どうして届いたんだろう。

 

混乱しながらも、嬉しかった。

 

夢でも幻でも、構わない。

 

急いで、返事を書いた。

 

 

 

 

『大野智様

 

 お返事ありがとう。

 俺の名前は、櫻井翔です。

 あなたの絵の講演会で、出会いました。

 そして、恋人になりました。今は、どこにいるんですか? 

 

 櫻井翔より』

 

 

 

 

 

ドキドキしながら、またポストに入れた。

 

少し待って、ポストを開けると、手紙はもう消えていた。

 

何度も開けてみたけれど、ポストは空っぽのまま。

 

不思議な気持ちのまま、家に戻った。

 

ベッドへ横になって、考える。

 

こんな映画を観たことがある。

海辺の家のポストが、時間を越えて手紙が往復する。

映画は、現在と2年前が交錯していた。

 

 

「……過去の智君?」

 

 

信じられないことだけど。

 

また、手紙を書こうと思った。

 

 

 

続く