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(5)

 

彼の使っていたアトリエの机で、レターセットを広げた。

 

紙の手紙なんて、いつぶりだろうか。

 

 

 

 

『 大野智 様

 

今、どこにいますか? とても会いたいです。

一緒に、またお酒も飲みたいし、一緒に、眠りたい。

約束した旅行も、行きたい。あなたがいないと、何をして良いかも、わかりません。

夢でいいから、会いに来て下さい。愛しています。

 

あなたの恋人より』

 

 

彼が好きそうな色合いのレターセットで書いた手紙。

 

家の外で、寂しそうに立っているポストに、入れる。

 

智君……。

 

この手紙を読んだら、夢で会いに来てくれるかな。

 

 

 

 

 

 

少し眠れたから、朝早く買い物でも行こうかと、ポストの前を通ると、カシャンと音がした。

 

「……? ポスト?」

 

ポストを開けると、手紙があった。

 

知らない手紙だった。

 

俺が入れたはずの手紙は、無くなっていた。

 

「えっ?」

 

差出人の名前に、驚いて動けなかった。

 

『大野智』

 

「嘘っ」

 

震える手で、封筒を開ける。

 

中から見覚えのある字が見えた。

 

 

『 あなたは、誰? 』

 

そう書いてあった。

 

 

 

 

続く