*嵐妄想小説
*BL小説
*お山妄想
*お話の全てはフィクションです。
(3)
side 智
翔ちゃんがいつも言う。
俺と初めて会った日に、俺に小さな羽が見えたって。
……俺は鳥でも、天使でもねえ。
天使みたいなのは、翔ちゃんだ。
死んだ母ちゃんそっくりの美形だし。
母ちゃんよりも、優しいんだ。
病気の日も、元気な日も、ずーっと俺を一番に、動いてくれて。
……俺、ここの子だけど。
父ちゃんも、母ちゃんも、親だと思ってるけど。
翔ちゃんが、お兄さんだなんて思えないんだ。
ちっちゃい頃から、翔ちゃんが好きで。
翔ちゃん以外、何もいらない。
ただの好きじゃない。
いつも思ってる。
翔ちゃんと、キスしたいって。
できたら、その先も。
ただ、それには、大問題があった。
俺って、男なんだよな。
***
「智さーんっ」
「お、手に入った?」
「分かんない」
「なんで?」
「いや……怖くて中身は見てない」
「なんだよお……」
「やだよ、そんなの見たくないし」
高校の後輩のニノ。
女の子みたいに可愛い顔の子だ。
先輩に虐められて、更に襲われそうなところを助けてから、いつもくっ付いてくるようになった。
ニノが教室に、戻りたくないって言った日は、いつも二人でサボって、フラフラしてる。
とにかく、卒業だけすればいいだろうし。(まあ、先生に怒られまくってるけど)
今日は、俺が探してた男同士の……やばい動画を探してDVDにしてくれたんだ。
「俺だって見たかねえ」
「なんで見たくないのに……?」
「だって分かんねえんだもん。勉強しないと」
「ねえ、智さんて男としたいの?」
「まさか! 俺は、翔ちゃんだけが、好きなんだからな」
「翔ちゃん……て、お兄さんは男じゃん」
「だから、大変なんだよ」
「じゃあ……一緒に観るよ」
「良かった♡ 一人じゃ怖かったんだよな」
二人で、俺の家で観ることになった。
***
side 翔
相変わらず、智くんは学校をサボってるみたいで、担任から連絡があった。
営業先から直帰予定だったから、早めに帰宅できて助かったな。
夕飯の買い物をして、とにかく家に帰ろう。
智君、帰ってるといいんだけど。
***
side 智
思ったよりも観るのに、勇気が要って。
「よし……観るぞ」
「うん」
ニノと二人で、DVDを観始めて。
ううう。翔ちゃんじゃない男は、ゾッとする。
声も、音も、画面も怖かった。
うえええ。気持ち悪いよお〜。(涙)
「や……やっぱり、俺……帰る。」
ニノが、真っ青になって、逃げようとするから。
「あ……逃げんなよっ……ニノ……!」
「離してってばっ……!」
逃げるのを追いかけて。
ニノを捕まえて、背後から押し倒す形になった時だった。
「智君!? 何してんのっっ!?」
悲鳴のような声がして。
翔ちゃんが、ドアを開けて立っていた。
続く