(BL/お山OS/妄想小説)
side 智
そっと、翔ちゃんの様子を見に寝室へ。
ベッドには、ぐっすり眠った翔ちゃん。
「可愛いなあ……」
可愛い寝顔を見て、音を立てないようにして、またリビングへ戻った。
コソコソとテレビをつけて、(音は小さく小さくした)ビールを飲んで。
ニュースの配信番組見たりして。
眠いような眠くないような感じで、力を抜いた。
落ち着いた頃、ガタンと音がして、振り向くと翔ちゃんが立っていた。
「智君!」
「あ、起きちゃった? ごめんね?」
なんか……怒ってる顔の翔ちゃん。
「ど、どうかした?」
黙って俺の隣に座ると、大真面目な顔で言う。
「帰ったら、起こしてって……!」
あ、そうか。
「ごめん、可哀想だったからさ」
「このまま朝になった方が、可哀想でしょ?」
「……可哀想? 俺なら大丈夫だから……」
「違うって!」
バシッと肩を、叩かれた。
「イテッ……な、なんで?」
「俺が、可哀想でしょー?!」
本当に、怒ってるみたいな顔の翔ちゃん。
「へ? ああ……ごめん」
言いながら、声出して笑っちゃう。
「なんで笑うのー?」
ほっぺを膨らませて、赤い顔の翔ちゃん。
ギュッと抱きしめて、頭を撫でた。
「翔ちゃん、可愛いなあ」
「可愛くないし!」
「いや、可愛いよ。どうしたら許してくれんの?」
「……お腹すいた」
「食べてないの?」
「食べたけど」
子供みたいな口調なのは、甘えてくれてるのかな。
「分かった、なんでも言って? 作ってあげるから」
「……えっと」
急に、困った顔でしおらしくなっちゃうのも、可愛い。
「……お茶漬け」
「了解」
やっぱり、俺がいないとダメなんだな。
それが、こんなに嬉しいなんて。
「さ、食べて機嫌なおして」
冷凍ご飯をレンジに入れて、梅干しにお茶漬けのもと。
塩昆布も出して。
「いただきまーす」
二人で食べる夜食は、食事会より美味かった。
「智君、お茶漬けも上手だなあ、美味しい♡」
「良かった」
もう、機嫌が治った翔ちゃんは、嬉しそうに食べてくれる。
「翔ちゃん、俺、幸せだなあ」
「……俺も」
恥ずかしそうに、笑ってくれてキュンとする。
可愛い伴侶は、やっぱり君だけ。
昨日も、今日も、明日もね。
いつまでも、一緒に暮らしたいって、また思った。
第8話<end>