(BL/お山OS/妄想小説)

 

 

 

 

side 翔

 

 

「「いただきまーす♡」」

 

二人で、コーヒー淹れて、クロワッサン温めて。

 

玉子は、ゆで卵にしたのがあったから、それで済ませちゃう。

 

「お腹空いたねえ」

 

「うん」

 

笑い合って食べるから、いつもより美味しい。

 

マメが、なかなか食べようとしない。

 

「マメ、お腹空いたろ?」

 

「キューン……」

 

「このご飯、嫌いなのかな?」

 

叔母さんが、持たせてくれたドッグフード。

 

今度は缶詰の分を開けたけど。

 

「それなら……」

 

智くんが、冷蔵庫から生たまごを、出してきた。

 

「よし、グレードアップ♡」

 

ウェットフードに、生卵を入れると、スプーンでかき混ぜた。

 

「ええ……っと」

 

「え!」

 

智くんが、マメのご飯を一口、自分の口に入れてしまった。

 

「まあまあかなあ」

 

それを見て、マメが食べ始めた。

 

「うまいか? 良かったな」

 

智くんが優しく笑って、椅子に戻ってきた。

 

「智くん、食べちゃったの?」

 

「うん、不味いのかなって、思ったから」

 

すごい、味見に食べちゃうなんて。

 

本当に智くんて、優しいんだなあ。

 

「マメ、完食だよ」

 

「ほんとだあ」

 

マメは、食べた後、飛び跳ねてる。

 

そうして、ころんと横になった。

 

小さいお腹が、膨れてる。

 

「智くん、優しいなあ」

 

「そうかな、翔ちゃんにだけね。マメは翔ちゃんの犬だから特別」

 

「えへへ……♡」

 

思わず、嬉しくて笑っちゃう。

 

いつだってカッコいいんだから。

 

でも、みんなに優しいって、知ってるんだぞ?

 

 

 

***

 

 

 

side 智

 

 

マメが、台所に行った翔ちゃんの後をついていく。

 

ちっちゃい体で、必死だ。

 

「マメえ……足元は危ないってえ……」

 

翔ちゃんも、甘い声で、可愛い。

 

仔犬が、いるとちょっと景色が変わって、翔ちゃんもいつもより可愛い。

 

休日の優しい景色で、気持ちも優しくなっていく。

 

マメが、今度は俺の膝に登りついてる。

 

「まだ、遊べないぞ?」

 

膝に抱き上げて、最後のひとくち食べちゃおう。

 

「しょうがないなあ」

 

俺まで、声が甘くなる。

 

智くんて優しいって、翔くんが笑ってる。

 

いつもより、笑い声が多い朝。

 

「マメ、遊んでやるぞ♡」

 

「ワンっ♡」

 

俺も、床に転がって仔犬と戯れあった。

 

仔犬は、何度もジャンプして、飛び付いてくる。

 

毎日、二人きりだった朝に、仔犬がいるだけで、変わっちゃうんだな。

 

……子供が、できたみたいな?

 

「翔ちゃんと俺と……」

 

ありえないけど、ちょっと想像して。

 

翔ちゃんに、そっくりな子なら、有りかなあ。

 

マメが、転がった俺の顔の上にジャンプした。

 

「うわっ、やめろっ」

 

「わんっ♡」

 

翔ちゃんに顔は似てないけど、マメは可愛かった。