(BL/お山OS/妄想小説)

 

 

 

 

side 翔

 

明け方、目が覚めたら、智くんが隣に居なかった。

 

キョロキョロしてると、リビングから声がする。

 

クンクン鳴く仔犬の声と、智くんの声。

 

「こら、翔ちゃんが、起きちゃうじゃん……」

 

声を聞いて安心する。

 

智くんが、居なかったらどうしようって、寝ぼけてると思っちゃうから。

 

安心して、もう一度、夢の中へ。

 

今日から、お休み。GWの連休なんだな……。

 

智くんも、一緒に休むって言ってたし。

 

……めっちゃ幸せじゃない?

 

「……大好き」

 

幸せな気持ちで、GWが始まろうとしていた。

 

 

 

***

 

 

 

side 智

 

 

仔犬に、ご飯をあげて寝ようとすると、ゲージから暴れて出ようとするし。

 

キャンキャン鳴かれて、離れられなかった。

 

疲れてる翔ちゃんを、更に疲れさせちゃったから。(自覚はある)

 

寝かせてあげるには、仔犬を静かにしなきゃならない。

 

仕方なく、毛布を被ってゲージの前で、雑魚寝。

 

うう……背中が痛い。

 

お腹空いたなあ。

 

でも、翔ちゃんと食べたいから。

 

起きてくれるまで、我慢しよう。

 

年末に1度、翔ちゃんを一人で置いて行ってから、寂しがるようになったから。

 

目が覚めた時は、必ず俺は、そばに居てあげるようにしてるんだ。

 

こんな俺と、ずっといたいって思ってくれるなんて、嬉しいよね。

 

 

 

 

……俺も、眠いかも。

 

目を瞑ったら、あっという間に、眠ってしまった。

 

眠った俺を見て、仔犬も眠りだしたみたい。

 

 

 

******

 

 

 

side 翔

 

 

やっと、ベッドから起き上がったら、フラフラした。

 

もう10時。

 

「あ……しまった、マメ!」

 

仔犬……どうしてるかな。智くんは?

 

パタパタとリビングに行くと、ゲージの前で智くんが毛布かぶって寝てた。

 

マメが、俺の方を見て、クンクン鳴き出した。

 

こぼれそうな大きなおメメ。

 

「ごめんね? ……ふふ、可愛い」

 

可愛いのは、マメだけじゃなく、智くんもだ。

 

毛布かぶって、丸くなって赤ちゃんみたい。

 

可愛いから、チュッて頭のとこに、キスしてみた。

 

モジモジ動くけど、まだ寝てる。

 

「二人とも、お腹すいてるよね」

 

マメは、尻尾をブンブン振ってる。

 

「出してあげようね」

 

ゲージから出すと、マメは、智くんに突撃する。

 

ちっちゃい体を智くんの上に、乗り上げようとする。

 

「ずるいぞおマメ♪ 俺の智くんだからね」

 

そう言ってマメを智くんから剥がして、抱っこする。

 

「本当?♡」

 

いきなり、智くんが起きて、後ろからハグされた。

 

「きゃっ……び、びっくりしたっ」///

 

えへへなんて、笑って仔犬と一緒に抱きしめられる。

 

「おはよう翔ちゃん」

 

「おはよう、智くん」

 

「ワンっ」

 

「ごめん、マメもおはよう」

 

なんか……親子みたいじゃない?

 

幸せなGWが、始まった。