(BL/お山OS/妄想小説)

 

 

 

 

side 智

 

 

翔ちゃんは、自分が綺麗で可愛いって分かってないから。

 

本当は、離れてる時も心配なんだけど。

 

たまに、可愛過ぎて、いじめちゃうんだ。

 

俺以外、無理なんだよって焼き付けたいから。

 

もう、無理って泣き出すまで、ベッドで攻め立てる。

 

すっかり、快感に慣れて、奔放に足を 開 いて誘 う翔ちゃん。

 

俺以外は、知らない翔ちゃんは、可愛くて。

 

色っぽくなっていく姿は、俺の自慢。

 

だけど、普通の人たちとは、違う結婚だし。

 

子供がいるわけでも無いから。

 

いつ終わっても、おかしくない二人の関係に、ちょっと寂しく思ってしまう。

 

愛して愛されてるのに。

 

幸せに慣れるのは、とても早い。

 

贅沢なんだと思いながら、もう少し何かが欲しい。

 

二人を繋ぐ、何かが欲しくなってしまった。

 

こんなに、毎日、好きが増えていくなんて、思わなかったから。

 

 

 

***

 

 

 

side 翔

 

 

仕事が忙しくって、一緒にいる時間が少なかった後は、ベッドの智くんは、激しくなる。

 

喘いで泣いて、快感が苦痛に変わるまで愛されて、グチャグチャにされて……安心する。

 

智くんが、まだ愛してくれてるって、求められてるって、安心できてしまう。

 

俺って、もしかして、危ないの?

 

同性の結婚は、どこか頼りなくて。

 

このまま愛される自信が、たまに揺れてしまう。

 

何年経っても、智くんだけが好きで、愛されてると思うけど。

 

去年も、来年も、変わりなく、仕事以外の目標も無いから。

 

いつの間にか、贅沢な自分に、苦笑するしかない。

 

二人でいるだけで、良いはずなのに。

 

 

 

******

 

 

 

side 智

 

 

翔ちゃんが、眠ってしまってから、軽く落ち込む俺。

 

「俺って……心が狭過ぎじゃん……」

 

呟いて、台所で水でも飲もうと、リビングまで行くと。

 

 

「うううーきゅううううんん」

 

 

「あ」

 

忘れてた、マメが居たんだった!

 

ゲージから、悲しそうに鳴いてこっちを見てる。

 

「ごめんごめん、目が覚めたんだな」

 

ゲージから、仔犬のマメを出して抱き上げる。

 

嬉しそうに、きゅうって鳴いて、顔をメチャクチャ、舐めてくる。

 

「おまえ、翔ちゃんより激しいなあ」

 

へへ……俺って、犬に何言ってんの?

 

ジッと見つめる瞳は、困った時の翔ちゃんみたいに、可愛いな。

 

一緒に暮らすようになって、お互い色んな顔を知った。

 

可愛くて、恥ずかしがり屋で、言いたいことも、すぐ我慢しようとする翔ちゃん。

 

「俺以外なんて、無理なんだから」

 

面倒臭くて、俺に気を使おうとして、空回りしちゃう翔ちゃん。

 

「マメでも、翔ちゃんはあげないぞ?」

 

仔犬が、分かったようにワンと鳴いて、思わずふふって笑っちゃった。