(BL/櫻葉AS/妄想小説)
(1)「攻め攻め美人執事さま」
ある有名一族の坊っちゃまが、主人のお屋敷がありました。
坊っちゃまのお名前は、相葉雅紀。
足が大変長く、スタイルの良い美しい男性です。
そのお屋敷を取り仕切るのは、美しくて聡明な秘書兼、執事様。
執事の名前は、櫻井翔。
大きな瞳と、ふっくらした赤い唇の色っぽさは、定評がありました。
年齢は若いながら、誰よりもこの家と坊っちゃまを理解しています。
その有能さでも、この界隈では有名人でありました。
屋敷中が、執事と坊っちゃまを慕い愛して。
坊っちゃまは、誰より執事を信用して、頼りにしています。
……ただ。
執事は、とっても♪イタズラ好きで。
それだけが、坊っちゃまの悩みの種で、ありました。
*******
今日は、休日。
久しぶりに何の予定も無い穏やかな春の日。
坊っちゃまは、幸せそうに眠っていたけど、何か良い香りがして目が覚めた。
「……?」
ぼんやりと見えて来た視界には……。
「ちょっと……翔ちゃんっ!」
キス出来そうな距離に、執事の顔があった。
「おはようございます、坊っちゃま♡」
「な、何でいるのっ?」
執事は、坊っちゃまのベッドで、一緒に寝ている。
「坊っちゃまを起こしに参りましたら、あんまり寝顔が可愛いので、つい一緒に寝てみたくなって♡」
執事は、綺麗な顔で、悪戯っぽく、うふふと笑う。
大きな漆黒の瞳が綺麗で、口元も色っぽくて。
坊っちゃまは、ドキドキしてしまう。
(な、何で執事なのに、美人なんだろう……)(汗)
「では、目が覚めましたね?」
そう言って、ベッドから出てしまう執事を、目で追ってしまう。
執事は乱れた髪を手で直し、ポケットからメガネを取り出すと、美しい顔を隠すように掛けた。
(うう……服を着てるのが、残念に思っちゃう自分がヤダ……///)
「では……」
「うわっ、ななな……何?」
「お着替えを♡お手伝いしましょう」
執事が、坊っちゃまの着替えを手伝おうと、手を伸ばす。
「ええっ?! い、いいからっ! 一人で着替えるよっ!」
着ている物を脱がされそうになって、必死でその手から逃げる坊っちゃま。
「私の仕事ですから、さあ♡」
「無理っ! 一人で着替えるからっ! 先に部屋から出ててよ!」
まあ……と、残念そうに笑うと執事は、ため息を吐く。
「どうしても?」
「うんっ」
「……仕方ありませんね」
そう言うと、執事は自分が脱ごうとする。
「うわっ、翔ちゃんっ! 何やってんのっ?」
「着替えさせてくださらないので、私が脱ごうかと」
「な、なんで?」
「……私が脱ぐのと、着替えさせてくださるのと、どちらにします?」
「えええっ? 脱ぐなってっ! ダメだってばっ」
慌てて執事の手を掴んで止めると、その手を逆に掴まれてしまう。
うふふと楽しそうに笑って執事の手が、伸びて来る。
「うわわわわ……だからダメだってばっ」
「私が脱ぐのは、ダメなんでしょう? じゃあ、私に着替えさせて下さい♡」
「翔ちゃんっ!! だああ……止めろってばっっ///」
毎朝、色んな事で、美人の執事が坊っちゃまを、楽しそうに攻めて来る。
坊っちゃまは、執事の悪戯に心臓が、毎日爆発しそうになってしまう。
美人執事の唯一の悪い癖であり、坊っちゃまへの愛情表現でもありました。
二人の物語の続きは、また今度……。