2人で過ごした時間は
俺にとってかけがえのないものになった
ずっと一緒だって言ってたくせに
昨日まで隣で笑ってたくせに
突然その時間が奪われるなんて
誰が思うかよ。
良く貴方が言っていた
今を精一杯生きる
貴方は俺にたくさんの愛を注いでくれた
言葉にするのはきっと照れ臭かったろうに
いつだって思った時に伝えてくれた
その度にドキマギして
結局最後にはしこたま愛されて
そんな毎日が幸せだった
貴方がいればこその
幸せだったんだ
今を精一杯生きるって
難しいよ
伝えたいことなんて後から後から
溢れ出してくるじゃん
出し惜しみしてた気なんて
さらさらなかったのに、なんでかな
まだ足りないって
伝えきれていないって
心が叫んでるんだ
俺は今
空に昇る白い煙を見上げてる
本当なら一緒に煙になっていたはずなのに
俺だけ残された
あの日どうして先に行かせてしまったのだろう
違う便に変更だってできたのに
あの人の「大丈夫だから」
その一言が手を離すきっかけになってしまった
大丈夫・・・
何度も俺を救ってくれた言葉
確証はきっとない、だけどそう思わせてくれる
強い意志が感じられて、その言葉に
守られてきたんだ。
あの時もっとくい下がればよかった
何がなんでも一緒に行けばよかった
趣味で書き溜めていた絵画
その中の数点を個展に出した時
たちまち多くの著名人の目に留まり
世界的に有名な展覧会の出品が決まった
その後急変した俺らの環境
現地との行き来は回数が増えるごとに忙しく
俺の海外への仕事が増えたこともきっかけで
いっそ拠点を移そうと
そんなことから俺たちの新しい生活基盤が
決まってやっとこれから始まるって時に
俺は1人放り出されてしまった
最後まで自分のことより
俺のこと考えてたのかと思うと
泣きたくても泣けないだろう
揺れる機内で必死に書き留めた
名刺の裏に貴方の思いを知る
大丈夫だ
生きろ
あ
その先は
あいしてるなのか、ありがとうなのか
貴方に聞かなきゃわからない
すぐにでも聞きに行きたいけど
生きろっていわれたら何もできないじゃん
ずるいんだいつだって
一歩も二歩も先に行く
薄くなってきた煙を確認して
桐箱を取り出す
最後の二本
その一つに火を灯す
蕾
牡丹
松葉
そして
散り菊
線香花火の一生は
俺らのそれと同じ
人生を見ているよう
残りの一本は俺が持っていくから
そうしたらまた星屑に紛れて
やろうね、絶対に約束だよ
ぽとりと落ちた火玉
その横に落ちて広がる涙滴
どこまでも広く青い空に一際高い
雄叫びが響いていた。
end
散り菊
火花が一本、また一本と落ちていく「散り菊」
静かに余生を送る晩年と言えます。赤から黄色に変わって火の玉が光を失った瞬間、線香花火の一生は幕を閉じるのです。
この説明文から
他のシチュエーションもあったんだけど
多分こんな終わり方は初めて描いたかも
私的にはハッピーエンドのつもりです
愛はかけがえのないもの
その人をずっと忘れない選択肢もあっていいかと
幸せな時間が多いほど人は優しくなれて
そして強くなれる
そんな気がした小話でした。
小さな幸せ感を大切にしてください
アイスの棒に当たりが出た!
これだけでも最高です。
誰かにアイス食べてもらえる!
不慣れなチャレンジにて
読みづらいと思いますがご了承を!
お粗末様でした(◞‿◟)
