ちょうど一年前

2人して同じものを買っていたことがわかって

あぁ、この感情は間違いないものなんだって

再認識してからは、時間さえあれば2人で盃を

酌み交わすようになっていた。



行き来が面倒で結局一軒家を借りた

愛の巣ってやつだ。はははッ。


一年中思い立った時に火を灯せる便利な花火

一度真冬の大雪の日にベランダでやったことがあった。



真っ暗な空に雪が舞い、真っ白に積もった雪に

橙色の火花が散る。


夏の花火もいいけど真冬の花火はどこか温かい




少しだけ酔って上機嫌になった顔は、やっぱり

可愛いくて、ま近に見れば見るほど綺麗で

俺はとことんこの顔が好きなんだって納得した。



思えば色んな顔見せてもらったな。


拗ねたり、怒ったり、驚いたり、照れたり

どれも俺のだいすきな顔



人生ってやつは、何が起こるかわからない

今この現状が一番幸せだったって思うことも

あるかもしれない。

明日なんて当たり前にくるものだと思っていたけど

そうじゃないんだ。

今を生きろって、そう言うことなんだよね。



だから俺は心に蓋をしない

そう誓った。


ありったけの思いを伝えまくってやる。

真っ赤になってモジモジし出したって

止やしない



死が2人を別つ時まで

1秒だって忘れさせてやらない



俺は人一倍愛情が濃いんだ

知ってると思うけど、それ以上だって

思わせてやる。




肩を並べて灯す火玉

小さかろうが俺たちの燈

優美な火のアーチは芸術的で

最高の幸福感で満たされていく



大好きな笑顔と共に



永遠はないからこそ美しいものなのだろうな




冷え切った身体を2人で温め合った

ある冬の一コマを思い返していた




風呂から上がった頃合いを見てキンキンに冷えた

ビールを二つ取り出す


不意に思い返していた情景の熱を冷ましたくて

先に口をつけると

1人で先に飲むな、って真っ赤な唇をこれでもかって

とんがらせて怒る。



んはははッ、

そんな顔も可愛くて、わざとひと缶一気に飲み干す


取り出していた桐箱の蓋をそっと撫でながら

まだ怒ってる大好きな顔をじっくり眺めていた。












松葉



やがて勢いを増し、松葉のように次々と火花が飛び出します。結婚、出産、子供の成長、優美なアーチを眺めていると、不思議と幸せな出来事が重なります。






この説明文で、2人の絶頂期を連想しました。後は残すところ「散り菊」です。