今日もやっぱり雨
あの人と会う日はいつも雨
だけど、最近はどうやら
俺じゃないかって思ってる
何が?って
フフッ
雨男
ここで初めて貴方を見つけて
約束もしないのに会えるようになって
暇さえあればあしげく通った
そのうち何となく雨降りの時が
一番多いってわかった時
迷わずここに向かう
絶対会えるって思ったから
多分それは、
俺だけじゃない
貴方もきっと同じじゃないかって
思えるようになった
俺が来なくてもきっと
ここで待っててくれるんじゃないかって
淡い期待を抱き始めて
それが確信になった時
俺は想いを伝えることにした
約束をして会うことが
あまりなかったから
妙に緊張した
それでもドアベルの音で
貴方を見つけると
ホッとして頬が緩む
これはいつもの事なんだけど
この日ばかりは普段通りに
行かなかった
俺はめちゃくちゃテンパってて
冷静じゃいられなかった
心臓の音がうるさくて
聞こえているんじゃないかと思ったほど
まともに顔がみっれなくて
視線が泳ぐ
手汗もひどい、下手したら
垂れてきそうなほど・・・・
当の本人はどこ吹く風
だけど、いつもと違うことに気づいてくれた
眉間に少し皺が寄ったから(笑)
ただ、俺ばかりが
ドキドキハラハラしてるのかと
思うと、ちょっと意地悪してみたくなった
今ここで俺の気持ちを伝えても
確約はない・・・・
それでも僅かな期待を込めて
精一杯の思いを伝えることにした
ところが予想以上に鈍くって
すぐに伝わるかと思えば
これが中々どうして、ちっとも
わかってもらえない(苦笑)
最初こそ恥ずかしさと、緊張で
どうにかなりそうだったけど
好きな人ができたって伝えた時の
貴方の反応が想像以上で
嬉しかったんだ
きっと想いは伝わるはず
案の定、
いつもなら冷めたコーヒーになんて
手を出さないくせに、何度も口にする
もうそろそろいいよね?
ぐるぐるしてる貴方に
ストレートに好きだと伝えた
貴方は動きを止めたまま
赤くなったり、青くなったり
最後はふにゃふにゃになって
ホワンと微笑んだ
返事をすぐに聞きたくて
そう伝えたのに
頑なに答えてはくれなかった
雨粒の当たる窓に向かって
何かを書き出し
どうだ!とばかりに俺をみる
そこには少し歪な
ハートのマーク
貴方からの精一杯の答えだと
思った瞬間
一気に恥ずかしさが戻ってきた
言葉はなくても
俺と同じだよって言われてる気がした
今日もそんな貴方を待っている
少しだけ上達した
窓辺の絵画
今日は
雨降りおじさんにしてみた
カランカラン~
俺の大好きなドアベルの音
『悪い、お待たせ!』
「ううん、俺も今来たとこ・・・」
『嘘つけ、来てすぐにこんな絵、描くか(笑)』
「はははっ、ばれた?」
『ふふん、俺なら・・・こうするな』
さっき描いた窓の落書き
はーっと息をかけてから
すらすらと描きだした
『どうよ!』
・・・・・・・・・。やべ、/////
なんか感動してる、俺・・・
『雨男らにはお似合いだろ?』
「・・・・うん、いいよ、いい!」
『だろ?』
それから、またコーヒーを二つ注文する
じっと窓の外を見ながら
目を細めるあなたの横顔を
俺は一生忘れない・・・・
Rain・・・・
最高!
fin



