『あ、あのさ、好きって言っても色々あって』
あぁ・・・
まだ続くんんだ
そうか、俺が誰が好きなんだって聞けば
全て終わるんだったな・・・・
何かを必死に、訥々と話している顔をまじまじ見ながら
今までのこいつとの待ち合わせを思い出していた
冬と春の間に漂う匂いが好きだとか
春先の眩しい日差しがきれいでとか
春から夏にかけて独特のにおいがするんだとか
夏の終わりに鳴く虫がどうだとか
秋は全部好きだとか
秋から冬にかけての装いが似合うだの
真冬に飲むココアが絶品だの・・・・
・・・・・季節の変わり目に会ってるせいか?
そんなことばかり思い出す
あぁ、今気が付いた。
俺って一年中こいつといたんじゃん
それなのに、今更『好きな人できた』だぁ?
・・・・・ふざけんな!!!
って、なに怒ってるんだ俺
?????
『・・・ねぇ、聞いてる?』
すっかり自分の世界ハマっていた俺を
イライラの原因の元が引き戻す
「ゴメン、聞いてなかった」
そんな俺を今度は真っすぐ見つめる
何かを決心したように
真っ赤なくちびるをハムっと結んで
フ~、、、、と長い息を吐いた
『もう一度、言いますからよく聞いてください』
「お、おぅ」
って、今更聞いたところで俺には関係ない
冷めたカップを眺めながら
奴の話に耳だけは傾けていた・・・・
『・・・・最近なんだ、好きの違いが分かったの
・・・・・・・・・・話し続けてもいい?』
「おぅ・・・」
『その人は、必ず俺を待ってくれる、どんな時も
必ず。時々面倒くさそうに生返事しかしないこともあるけど』
「・・・・?おぅ」
『会いたいと思うと、いつも雨が降る(笑)』
「・・・・雨?」
『そう、雨に好かれている(笑)』
「・・・・なんだどっかで聞いたような話だな」
『ははは、なんだか似てると思わない?』
似てるか・・・・だから俺に話したのか
どんな人なんだ?
こいつにこんな顔させる相手って
急に興味がわいてきたのと同時に
きゅ~~~と胸の奥が締め付けられているように感じた
冷めたコーヒーがやけにぼやけて見えた
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