※ 過去記事にてお粗末ではありますがご了承ください。

   (使用していた画像はすべて差し替えしています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 





大野くん・・・・
初めの頃は

そう呼んでいたんだっけ。
 

 

 


いつの頃からか、
特別な何かが欲しくて、
智くん呼びをしてみた。
思いのほか恥ずかしかったけど、
それよりももっとあなたが照れていたから、呼び方元に戻したら、
「いいよ・・・それで」
ってめちゃくちゃ真っ赤な顔をして呟くから、思わず出ちゃった。

「可愛い・・・」

聞こえたのか、口を尖らせほっぺをぷっと膨らませ、
上目づかいで睨んでる。
全っ然怖くない。(笑)


そんな智くんと過ごす時間・・・
ますます拍車がかかる感情に
歯止めが利かなくなりそうで
自分から距離を取った。

立ち位置を変え、仕事の後も
予定を入れ、考える時間を
極力なくすように。

そんなある日、ニノからの電話。


『翔ちゃんさっ、どういうつもり?』

・・・どういうつもりとは?

「なにが?」

『だから、リーダーのこと。』

「智くんのこと?どうしたの?」

『最近リーダーの近くに行ってないでしょ?』

「えっ?」

なんなんだ?この展開。

ニノがどうしてそんな事で連絡してくるんだ?


『あのね、困るんですよ、毎晩、付き合わされて。

リーダー毎日飲んだくれてますからね!』

少し怒り気味に話してくる内容がよくわからないが、
なぜか毎晩ニノと会ってることが気になり、
俺の動揺を誘っていた。

「毎晩?」

『そうですよ、、毎っ晩。』

「智くんが一緒にいたいんじゃないの?」

心にもないこと聞いている自分んが、いやになる。

それを、見透かすようにニノが
続ける・・・・


『リーダーは、翔ちゃんだけが
唯一の理解者だって思ってる。昔っからそう思っている。

でも、そんな理解者が自分をあからさまに避けていたら
傷つきますよね。』


「避けてないだろう、仕事の時だってちゃんと・・・」

話が終わらないうちにニノがかぶせてきた。

『避けてますって、翔ちゃん大野さんの誘い何回ことわりました?』



そうだ、あれから智くんがよく飲みに誘ってくれたんだ。
当然、予定をびっちり詰めていたから、行けるはずもなく、
曖昧に言葉を濁して、結局行かなったんだ。

5,6回目あたりからは、さすがに気まずくなって
予定が合ったらでいいからって、前もって聞いてきてくれた
その誘いですら、「ゴメン、そのあたりでZEROの取材がありそうなんだ」
と、智くんの好きなZEROをかたに、断ったんだ。

「そっか・・・ごめん何度も誘っちゃって。じゃっ・・・」



それっきり、あなたからのお誘いは途切れたんだ。

ホッとしている自分と、後悔している自分とでぐちゃぐちゃになって
結局、後輩を連れ出して飲み歩いてたんだっけ。



なおもニノが続ける。

『その断った何回目かの日、翔ちゃんのみに行ってますよね、
後輩引き連れて。今日は俺はフリータイムだって叫びながら。』


あっ・・・・。


『それ、丸からリーダー聴かされたんですよ。分かりますか?
その時のリーダーの気持ち?』


「いや、あれはその、予定がたまたまキャンセルになて、・・・」


ウソじゃない。本当に予定はキャンセルになったんだ。
って自分を弁護してどうする?


『百歩譲ってそうだったとします。そしたらその日誘ってくれた
リーダーにキャンセル伝えて飲みに行けばよかったじゃないですか?』



・・・・・あっ、そっか、その日だったんだ。
 

最悪。ニノの言うことは正しい。でも、飲んだ席で万が一
俺が智くんを好きだって口に出したら、

仕事も出来なくなってしまうかもしれない。

そのために距離を置きたかったんだ。ずっと一緒にいられるように。

『翔ちゃんは、頭いいくせに馬鹿だっ。自分でばっかり
答えだそうとして。いい加減気が付けよ!もっと周り見て!』
 

馬鹿?

俺のどこが馬鹿なんだ?
だいたい、人の気も知らないで・・・

勝手なことばかり言う
智くんのことや、この先のことを考えた上の決断だったんだ。
それを何で馬鹿呼ばわりされなくちゃいけないんだ?

無性に腹が立ってきて、

「とにかく俺は避けてないし、今後も今まで通りのスタンスでやるから。
支障は出てないはずだけど?この後予定あるから切るよ。」

『あっ、ちょっと翔ちゃんまだ・・・』

ニノの話を途中で遮って、俺はスマホを力いっぱい握りしめていた。