* だいぶご無沙汰です季節感もちぐはぐ
すっかり上げ忘れていたお話です最後までお付き合いいただければ幸い
なんで?
何もなかったかのように微笑む顔が
俺に向けられた時
ドクンと鼓動が一つはじけ飛んだ
逢えた嬉しさじゃない
もっと別の感情がどっと流れ込ん出来て
身体がワナワナと震えているのが分かった
「櫻井!!おぉ~い!」
なおも俺を呼ぶイカツイ奴は
してやったりとばかりに
肩を抱き寄せながら指を差してくる
その光景に我慢できなかったのか?
プチンと思考が途切れた
気づけば俺は
イカツイ奴から金髪を奪い取るように
その場から走り去っていた
背中越しに聞えてくる
冷やかしともとれる
雑音は砂利の上を走る足音と共に
次第に遠ざかる
何処に行くのかなんて考えもなく
ただ二人きりになりたかった
聞きたいことが山程あるんだ!
不安定な石の上を必死に走った
相変わらず汗は大量に出てくる
でもあの時よりは走れてる・・・はず
『結構走れるじゃん』
背中で声がした
しかも息が上がってない
それに引き換え、俺はと言えば
限界に近いところにいる
それでも息が荒くなるのを聞かれまいと
口を結ぶと
苦しさが一気に押し寄せてきた
大きく乱れた呼吸は
ほどなく限界を連れてくる
『無理すんなって、』
クスクス笑う声が
今度は俺の前から聞こえた
緩やかになる足取り
砂利の音が止まると
眩しい金髪が視界に広がっていった
微かな酸味と共に・・・・・

