智くんの肌はすっかり冷え切っていた
 
手のひらから伝わる感触は余計に
自分の熱の高さを認識させる
 
俺と同じように
抱きしめていた松潤も
そうだったのだろうか・・・
 
 
 
ごめん、俺もうだめだ。
 
 
 
「智くん、聞いて」
 
ピクッと反応する智くん
 
 
「戻った理由はね、・・・」
 
 
そこまで言いかけ時
智くんがぱっと顔を上げた
 
 
「・・・そっか!翔くんだからか?」
 
 
 
「えっ?」
 
 
 
ウルウルの瞳を目一杯開いて
俺を見つめる智くんが目の前にいる。
なぜかワクワクした顔つきで
心なしか笑っているようにも感じられる。
 
 
「翔くん、翔くん、
しょうくんだからだったんだ!」
 
 
「っおわ」
 
 
思い切り抱きつかれた俺は
勢いよく倒れこむ
当然目の前にはあられもない姿のままの
 
 
智くんが・・・
 
 
 
えっと、
 
 
 
ちょっと、
 
 
 
色々とマズイ事になっている俺には
お構いなしに密着してくる素肌・・・
 
でも・・・
さっきまでと違って
....温かい
 
今なら・・・伝えられるかもしれない
いや・・・
思いを伝えてもいいのだろうか?
押し付けることにはならないのだろうか?
 
この期に及んで俺はまだ....
 
 
「翔くん、知ってた?人によって
好きって違うんだよ」
 
「えっ?」
 
 
「だから、翔くんとみんなは違うんだって」
 
 
「みんな?」
 
コクコクとう頷く智くんは
何かを伝えようとしている
もう一度抱き締めたいと思っていたが
次に何を言うのか
聞いてみたいとも思った
 
ゆっくり背中に手を回そうとした時
視界一杯に智くんが広がった
 
 
それは突然で
息をするのも忘れるくらいに
柔らかな感触が深く伝わってくる

 
 
「わかった?」
 
 
智くん...?
 
「・・・えっと、ええっ?・・・!!」
 
 
今、何した?
キスされたよな?俺?




それじゃ智くんも
俺と同じ気持ちだったってこと?
俺にに相談してきたのは?
俺は対象外じゃなかったってこと?
 
 
急に力が抜けてきて
ニコニコ笑っている智くんを
今一度自分に引き寄せた

今度は抵抗なく
スッポリ腕の中に収まる智くん

じっと俺を見上げると


「なんで翔くんは戻ってきたの?」


......。

この体勢でそれ聞くの?

.....。

ふふっ

まいったな、智くんには
お手上げだよ


言わなきゃ始まらないこともある


少しだけ松本に勇気を分けてもらったから
今一度確かめよう
俺の心が恋しいと言っている
その人の思いを。。。


きっとそれは紛れもない
.....恋心