カズに促され
入口の方に歩いていくと
イカツイ顔の男が
金髪の肩に手をかけて
耳もとで何かをささやいているのが
目に入った
「・・・あっ、」
トクンと心臓が大きく動く
・・・・??
動悸か??
なおも手招きをする金髪の笑顔は
はじけそうなくらいなのに
肩に置かれた手が気になって
笑えない俺・・・
二人の前まで来ると
おもむろに金髪を引き寄せて
耳打ちをしたかと思いきや
イカツイ男がニヤリと笑いながら
金髪の頬に唇をよせた
「!!!」
頭から桶が降ってきたような
一瞬の衝撃・・・・
二人を見比べて何が起きたか
目を見開くだけ見開いて
凝視していた
周りからも黄色い歓声が上がる
歓声?
・・・これを見て歓声になるのか?
チュウ・・・だよな?これ
しかも相手は男だぞ?
まぁ・・・
その辺にいないくらい綺麗な男だけど
綺麗な・・・・
もう一度
その顔を眺める
確かに綺麗で
均整の取れた顔付
なんといっても濁りのない
透き通った瞳
俺の知っている連中にはいない
あぁ、カズは虹彩が薄茶でそれはそれで
きれいだけど。
それとこの間カズの知り合いの相葉君
彼も黒目が大きくて子供みたいに
キラキラしてたっけ・・・
でも・・・金髪は作りが違う気がする
その瞳に映る世界を一度覗いてみたいと
思わせる・・・そんな澄んだ目をしているから
「あっ・・・」
さっきまで笑っていた金髪からは
笑みが消え
肩に置かれたイカツイ男の手が
不自然な方向に捩じ上げられていた
「イテテテテッ、」
イカツイ男はマジで痛がり
涼しい顔でさらに力を加える金髪に
なぜか俺は吹き出してしまった
「ブッ、ハハハハっ、、、、」
じろりと睨むイカツイ男と対照的に
にこりと微笑む金髪
てか・・・
この華奢な身体に似合わない
腕っぷし・・・
もし、これがあの時で・・・
粗相しようものなら
俺もこれと同じ目に合ってたってこと??
しかも俺、
・・・・・・ほっぺにチュウ、
どころじゃないことしたじゃん、
あれ?でも・・・
俺は無事だったよなぁ?
酒・・・のせいか?
どちらにしても
あっぶなかった。。。。
思わず一歩下がり捩じ上がった
手元を見つめながら
あの時の金髪のことを
思い返していた・・・・
そして・・・
俺自身のことも
マジ、金髪って
何者なんだ?
